日本の金利環境に変化の兆しが見られます。
2026年2月4日、財務省から2月募集分の個人向け国債に関する発行条件が公表され、全体的に金利が上昇していることが明らかになりました。
金利が上昇している背景として考えられるのは、2025年12月19日に行われた日本銀行による追加の政策金利引き上げです。
市場では金利上昇への関心が高まっており、将来の金利変動に柔軟に対応できる金融商品に注目が集まっています。
「変動10年」は預入期間が10年と長いものの、半年ごとに適用利率が見直される点が大きな特徴です。
本記事では、2026年2月4日に発表された個人向け国債の「2026年2月募集分」の最新条件についてわかりやすく解説します。
「個人向け国債」の基本的な特徴や、前回(2026年1月募集)の金利、「変動10年」の適用利率の推移もご紹介しますので、資産形成について考える際の参考にご覧ください。
1. 日本政府が発行する「個人向け国債」の仕組み
個人向け国債は、財務省(日本政府)が発行する債券の一種で、個人の資産形成を目的として設計された金融商品です。
国が元本と利息の支払いを保証するため、多くの金融商品の中でも特に信用度が高い運用先とされています。
商品ラインナップには、金利が変動する「変動10年」のほかに、満期まで利率が固定される「固定5年」や「固定3年」があり、それぞれの運用計画に合わせて選べるのが魅力です。
1.1 変動金利タイプ「10年満期」
- 適用される利率が半年に一度見直される
- 適用金利には0.05%の下限が設けられている
- 市場金利が上がると受け取る利息が増えるというメリットがある
1.2 固定金利タイプ「5年満期」
- 発行時に定められた金利が満期まで変わらずに適用される
1.3 固定金利タイプ「3年満期」
- 発行時に定められた金利が満期まで変わらずに適用される
それでは、最新の2026年2月募集【募集期間:2026年2月5日(木)~2月27日(金)】における個人向け国債の金利はどのくらいなのでしょうか。
2. 【2026年2月募集】最新の個人向け国債金利と税引後利率
2.1 2026年2月募集「個人向け国債」の募集期間:2026年2月5日(木)~2月27日(金)
- 変動金利型10年:1.48%(税引後 1.1793380%)
- 固定金利型5年:1.66%(税引後 1.3227710%)
- 固定金利型3年:1.39%(税引後 1.1076215%)
参考として、前回2026年1月募集分の「個人向け国債の金利」がどの程度だったのかも見てみましょう。
3. 前回(2026年1月募集)の金利はどうだった?
2026年1月募集時における「個人向け国債の金利」は、以下の通りでした。
3.1 2026年1月募集「個人向け国債」の募集期間:2026年1月8日(木)~1月30日(金)
- 変動金利型10年:1.39%(2025年11月募集分は1.10%、2025年12月募集分は1.23%)
- 固定金利型5年:1.59%(2025年11月募集分は1.19%、2025年12月募集分は1.35%)
- 固定金利型3年:1.30%(2025年11月募集分は0.99%、2025年12月募集分は1.10%)
変動10年、固定5年、固定3年のいずれのタイプも、2025年11月募集分から利率が継続して引き上げられていることがわかります。
3.2 応募額から見る人気商品は?3種類の個人向け国債を比較
2026年1月8日に財務省が公表したデータによると、2025年12月における個人向け国債の「種類別応募額」は以下のようになっています。
- 個人向け利付国庫債券(変動 10年)第189回債:2112億円
- 個人向け利付国庫債券(固定 5年) 第177回債:2136億円
- 個人向け利付国庫債券(固定 3年) 第187回債:785億円
このデータからは、特に固定5年の商品に多くの資金が集まっており、人気が高い傾向にあることが見て取れます。
次に、個人向け国債の中でも「変動10年」に焦点を当て、適用利率の推移を確認していきましょう。
4. 「変動10年」の適用利率はどのように推移してきたか
個人向け国債の「変動金利タイプ」は、6カ月ごとに金利が見直されるのが大きな特徴です。
金利水準は、2024年3月にマイナス金利政策が解除されて以降、緩やかな上昇傾向にあります。
ここでは、個人向け国債の「変動金利が実際にどのように推移してきたのか」を見ていきます。
個人向け国債「変動10年(第158回)」適用利率の推移
- 令和5年6月16日から令和5年12月15日:0.3%
- 令和5年12月16日から令和6年6月15日:0.6%
- 令和6年6月16日から令和6年12月15日:0.6%
- 令和6年12月16日から令和7年6月15日:0.7%
- 令和7年6月16日から令和7年12月15日:0.8%
- 令和7年12月16日から令和8年6月15日:1.1%
変動10年の第158回債は、当初の適用利率0.3%から上昇を続け、現在の利率は1.1%に達しています。
ただし、変動金利であるため、適用利率が常に上昇し続けるわけではない点には注意が必要です。
市況によっては、適用利率が低下する可能性も考慮しておく必要があるでしょう。
5. 個人向け国債と定期預金、どちらを選んだらいい?判断のポイントとは
資産形成を考える際、「個人向け国債」と「定期預金」のどちらを選ぶべきか迷う方もいるかもしれません。
ここでは、それぞれの特徴を踏まえ、資金の使い道や目的、何を重視するかによってどちらが適しているかの判断ポイントを解説します。
5.1 個人向け国債が有利になる3つのケース
個人向け国債の最大のメリットは、国が元本と利子の支払いを保証しているため安全性が非常に高い点です。
ケース1:資産形成で「守り」と「安心感」を重視したい場合
一つの判断基準は、「元本割れのリスクをどれだけ避けたいか」という点です。
一般的な資産運用には価格変動リスクが伴いますが、国債は元本割れの可能性が極めて低いという特徴があります。
そのため、「できるだけ資産を減らしたくない」と考える方や、退職金などまとまった資金の運用先として有力な選択肢となるでしょう。
また、資産運用に慣れていない方が、価格変動リスクを抑えつつ資産形成を始めたい場合にも向いていると考えられます。
ケース2:将来的な「金利上昇」を見込んでいる場合
「今後の金利上昇を期待しているか」どうかも重要な判断ポイントです。
変動10年型の個人向け国債は、半年ごとに利率が見直される仕組みになっています。
したがって、今後日本の金利が上昇していくと考える場合、受け取る利息が増える可能性があり、有利に働くことが期待できます。
一方で、定期預金は原則として満期まで金利が固定されるため、市場金利が上昇しても途中で利息が増えることはありません。
個人向け国債であれば、金利動向に応じて受取利息が増加する可能性があります。
なお、金融機関によっては変動金利型の定期預金も提供されているため、適用利率の推移なども含めて比較検討することが大切です。
ケース3:分散投資で「安全性を重視した資産」も確保したい場合
「ポートフォリオ全体のバランス」という視点も大切になります。
株式や投資信託といった価格変動リスクのある資産を保有している場合、資産の一部に安全性の高い個人向け国債を組み入れることで、ポートフォリオ全体の安定性を高める効果が期待できます。
分散投資において、リスク資産と安全資産をバランス良く組み合わせるための一つの手段として、個人向け国債の活用は有効な選択肢と言えるでしょう。
5.2 定期預金が有利になる2つのケース
個人向け国債は、国が元本と利息の支払いを保証するため安全性の高さが魅力ですが、いくつか注意点もあります。
目的や資金の用途によっては、個人向け国債よりも定期預金や他の金融商品が適している場合も考えられますので、事前に確認しておきましょう。
ケース1:短期間で「資金が必要になる可能性がある」場合
ここでの判断ポイントは「解約時の条件」と「資金の流動性」です。
個人向け国債は、原則として購入から1年間は中途換金ができません。
さらに、1年経過後に解約する場合でも、直近2回分の利子相当額が差し引かれるペナルティがあります。
一方、定期預金は中途解約しても元本は保証されます。
定期預金の解約時には所定の中途解約利率が適用されるなどの条件はありますが、個人向け国債のように利息分が差し引かれる形ではないことが一般的です。
近い将来に資金を使う可能性がある場合は、定期預金の方が柔軟に対応しやすいと言えます。
ケース2:市場金利が急激な上昇期となっている場合
「金利がどれだけ早く反映されるか」という点も、判断材料になります。
変動10年型の個人向け国債は、適用利率の見直しが半年ごとに行われるのが特徴です。
そのため、市場金利が急上昇したとしても、その変動がすぐに個人向け国債の利率に反映されるわけではありません。
このタイムラグがあるため、より金利の高い新商品へすぐに預け替えができる定期預金などと比較すると、金利上昇局面での収益機会を逃してしまう可能性があります。
6. 個人向け国債や定期預金以外の選択肢を検討する場合
個人向け国債や定期預金は、安全性の高さや安定した金利収入が魅力です。
しかし、状況によっては他の金融商品に目を向ける方が良いケースもあります。
6.1 物価上昇(インフレ)リスクに対応したい場合
投資判断の一つとして、「実質的な資産価値をどう維持するか」という視点があります。
インフレ環境下では、個人向け国債の利息収入(名目上の利回り)だけでは、物価の上昇ペースに追いつかない可能性も考えられます。
リスクは高まりますが、株式・投資信託・不動産など、より高いリターンやインフレに連動する仕組みを持つ金融商品の方が、実質的な資産価値を維持しやすい場合があります。
6.2 高いリターンを狙いたい場合
「機会損失のリスクをどれだけ許容できるか」も判断軸となります。
安全性が高いとされる「個人向け国債」や定期預金は、その分利回りが低めに設定されがちです。
資金をこれらの商品に固定することで、高金利の社債や高配当株など、より高い利回りを提供する他の金融商品へ投資する機会を逃してしまうリスク(機会損失)も考慮する必要があります。
7. まとめ
ここまで、2026年2月4日に発表された個人向け国債の「2026年2月募集分」の最新条件について解説しました。
また、「個人向け国債」の基本的な特徴や、前回(2026年1月募集)の金利、「変動10年」の適用利率の推移もご紹介しました。
個人向け国債は、国が元本と利息の支払いを保証しているため、信用度の高い運用先とされています。
しかし、利回りによっては日本の物価上昇率を下回り、個人向け国債だけではインフレ対策として不十分となるケースも考えられます。
家計の状況をよく把握した上で、物価高に負けない資産形成を目指す視点も重要です。
ただし、より高い利回りを追求すると、それに伴ってリスクも高まることを忘れてはいけません。
リスクとリターンは比例する傾向にあるからです。
保有資産全体のバランスを考慮しながら、ご自身に合った資産形成の選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。
※当記事は再編集記事です。





