3月は新生活や人事異動、家計の見直しを意識するタイミングです。物価上昇が続くなか、「老後資金は足りるのか」と不安を感じている人も少なくありません。
実際の貯蓄状況については、平均と中央値の差が大きいことが明らかになっています。つまり、「平均」を見ただけでは実態は見えにくいということです。
そこで本記事では、単身世帯・二人以上世帯それぞれの貯蓄額を年代別に整理し、「老後に不安を感じる人」と「安心している人」の違いについても解説します。
1. 【年代別の貯蓄事情】40〜70歳代・おひとりさま世帯の「平均貯蓄額」をみる
金融経済教育推進機構が実施した「2025年 家計の金融行動に関する世論調査」を参照し、まずは単身世帯の貯蓄額を確認します。
平均貯蓄額

出所:金融経済教育推進機構「2025年家計の金融行動に関する世論調査」をもとにLIMO編集部作成
1.1 40歳代・単身世帯の「平均貯蓄額と中央値」をチェック
- 金融資産非保有:32.1%
- 100万円未満:15.1%
- 100~200万円未満:7.1%
- 200~300万円未満:5.9%
- 300~400万円未満:4.3%
- 400~500万円未満:2.2%
- 500~700万円未満:6.2%
- 700~1000万円未満:4.6%
- 1000~1500万円未満:6.2%
- 1500~2000万円未満:1.2%
- 2000~3000万円未満:2.8%
- 3000万円以上:9.9%
- 無回答:2.5%
- 平均:859万円
- 中央値:100万円
40歳代では、平均貯蓄額が859万円である一方、中央値は100万円にとどまり、両者の間には大きな開きが見られます。
また、貯蓄額別に見ると、金融資産を保有していない世帯や、貯蓄が100万円未満の層も一定数存在しています。
1.2 50歳代・単身世帯の「平均貯蓄額と中央値」をチェック
- 金融資産非保有:35.2%
- 100万円未満:10.1%
- 100~200万円未満:7.4%
- 200~300万円未満:4.6%
- 300~400万円未満:2.7%
- 400~500万円未満:3.3%
- 500~700万円未満:4.9%
- 700~1000万円未満:4.6%
- 1000~1500万円未満:6.0%
- 1500~2000万円未満:3.3%
- 2000~3000万円未満:5.5%
- 3000万円以上:10.4%
- 無回答:1.9%
- 平均:999万円
- 中央値:120万円
50歳代では平均貯蓄額が1000万円目前まで増加する一方で、中央値は120万円にとどまっています。
では、老後生活をスタートさせる60~70歳代では、貯蓄状況はどのようになっているのでしょうか。
1.3 60歳代・単身世帯の「平均貯蓄額と中央値」をチェック
- 平均:1364万円
- 中央値:300万円
1.4 70歳代・単身世帯の「平均貯蓄額と中央値」をチェック
- 平均:1489万円
- 中央値:500万円
60~70歳代では、平均貯蓄額がおおむね1300万~1400万円台となり、中央値も300万~500万円の水準にあります。
退職金や相続による資産の影響で平均・中央値ともに押し上げられていると考えられる一方、貯蓄額のばらつきは依然として大きい状況です。
2. 【年代別の貯蓄事情】40〜70歳代・二人以上世帯の「平均貯蓄額」をみる
次に、同資料より二人以上世帯についても見てみましょう。
平均貯蓄額

出所:金融経済教育推進機構「2025年家計の金融行動に関する世論調査」をもとにLIMO編集部作成
2.1 40歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額と中央値
- 金融資産非保有:18.8%
- 100万円未満:10.0%
- 100~200万円未満:6.2%
- 200~300万円未満:5.1%
- 300~400万円未満:4.4%
- 400~500万円未満:2.6%
- 500~700万円未満:7.3%
- 700~1000万円未満:6.1%
- 1000~1500万円未満:9.7%
- 1500~2000万円未満:6.5%
- 2000~3000万円未満:8.2%
- 3000万円以上:13.1%
- 無回答:2.1%
- 平均:1486万円
- 中央値:500万円
40歳代の二人以上世帯は、住宅費や教育費など支出が増えやすい時期でもありますが、平均貯蓄額は1500万円前後、中央値は500万円となっています。
2.2 50歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額と中央値
- 金融資産非保有:18.2%
- 100万円未満:6.5%
- 100~200万円未満:6.4%
- 200~300万円未満:4.1%
- 300~400万円未満:3.5%
- 400~500万円未満:2.2%
- 500~700万円未満:6.7%
- 700~1000万円未満:7.7%
- 1000~1500万円未満:9.3%
- 1500~2000万円未満:6.1%
- 2000~3000万円未満:8.1%
- 3000万円以上:18.8%
- 無回答:2.2%
- 平均:1908万円
- 中央値:700万円
50歳代では平均貯蓄額が2000万円に迫り、中央値も700万円の水準となっています。
一方で、全体のおよそ2割は貯蓄が100万円未満にとどまっています。
2.3 60歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額と中央値
- 平均:2683万円
- 中央値:1400万円
2.4 70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額と中央値
- 平均:2416万円
- 中央値:1178万円
60~70歳代では、平均貯蓄額が2000万円を上回り、中央値も1000万円を超える結果となっています。
3. 「老後に不安を感じる人」と「老後を安心して迎えられる人」に見られる3つの違い
では、老後資金に対して不安を抱く人と、比較的安心して考えられる人とでは、どの点に差があるのでしょうか。
3.1 1:老後いくら必要かわかっている
老後に不安を抱きやすい人は、「老後の生活費はいくら必要なのか」「公的年金はいくら受け取れるのか」「自分に必要な老後資金はいくらか」といった点が明確になっていないケースが多いと考えられます。
現状を整理せず、具体的な備えをしていないことが、不安につながっている要因と言えるでしょう。
老後の生活費を試算したり、ねんきんネットなどを活用して将来の年金受給額を確認したりすることが第一歩です。
そのうえで必要となる老後資金を整理し、どのくらいのペースで、いくらを、どの金融商品で準備していくのかを具体的に考えていくことが大切です。
3.2 2:「お金が貯まる仕組み」を利用している
貯蓄を意志の力だけに任せると継続が難しく、月ごとに貯蓄額が安定しないことも少なくありません。
そこで有効なのが、給料日直後にあらかじめ貯蓄分を確保し、残ったお金で生活する「先取り貯蓄」です。
金融機関によっては、毎月自動的に積み立てができるサービスも提供されているため、一度調べてみるとよいでしょう。
こうした「お金が自然に貯まる仕組み」を取り入れることで、忙しい日常の中でも無理なく貯蓄を続けることができます。
3.3 3:老後に向けてお金や働き方、暮らしを考えて見直している
老後への備え方は一つではありません。
資金面で準備することはもちろん、将来どのような暮らしを送りたいのかを考えることも重要です。
生活スタイルによっては固定費を見直せる場合もあり、50歳代を迎えた段階で暮らしのダウンサイジングを検討するのも一案でしょう。
働き方についても、現在では60歳代以降も働く人が増え、選択肢は以前より幅広くなっています。
人生100年時代といわれる今だからこそ、長期的な視点でキャリアを見据え、収入を確保する方法について考えてみることが大切です。
お金や働き方、暮らし方に関する制度やサービスは時代とともに変化します。
最新の情報を定期的に確認し、状況に応じて見直していく姿勢も忘れないようにしましょう。
4. まとめ|平均と中央値の差を理解し、3月の家計見直しで将来の不安を軽減
40〜50歳代の貯蓄額を見ると、平均値と中央値の差が大きく、「一部の高額資産層が平均を押し上げている」実態が浮かび上がります。そのため、自分の状況を正しく把握するには中央値を基準に考えることが重要です。
また、老後に不安を感じる人と安心している人の違いは、収入の多さだけではなく、「把握」「仕組み化」「見直し」といった行動にあります。特に3月は新年度前の見直しに最適なタイミングです。
まずは自分の貯蓄額が平均・中央値と比べてどの位置にあるのかを確認し、必要に応じて先取り貯蓄や支出の見直しを進めていきましょう。早めの行動が、将来の安心につながります。