2026年になり、新年の挨拶などで家族や親戚が集まる機会があったことで、実家の将来や万が一の事態について考えている方もいるかもしれません。

「我が家は資産家ではないから相続トラブルは関係ない」と考えている場合、特に注意が必要となる可能性があります。

なぜなら、相続で揉めてしまうのは「ごく普通の家庭」であることが多いのです。

そのため、今のお金の問題に取り組むだけでなく、将来を見据えた対策をしておくことも大切です。

この記事では、司法統計のデータをもとに、相続トラブルが発生しやすい家庭の傾向や背景、そして今からできる対策についてわかりやすく解説します。

1. 相続トラブルの約8割は遺産5000万円以下で発生。ごく普通の家庭が直面する現実とは

遺産分割で揉めやすい遺産額の割合1/5

相続トラブル多発!遺産価額ボリュームゾーンはどこだ?

出所:最高裁判所「令和6年 司法統計年報(家事編)」をもとにLIMO編集部作成

「遺産相続で揉めるのは資産家の話」といったイメージをお持ちではないでしょうか。

しかし、最高裁判所が公表している「令和6年 司法統計年報(家事編)」によると、遺産分割をめぐる事件の約8割が、遺産総額5000万円以下の家庭で発生しています。

特に注目すべきは、遺産額1000万円以下のケースで、全体の約35%(2810件)を占めています。

これは、裁判に至った相続問題の3件に1件以上が、富裕層ではないごく一般的な家庭で起きていることを示しています。

相続トラブルの原因は、遺産の金額の大きさよりも、むしろ分割方法の難しさにあると言えるでしょう。

家族間での考え方や価値観の違いが、協議を難航させる一因となっています。

1.1 遺産1000万円以下のトラブルが3割超。不動産相続で「代償金」が必要になる場合

遺産額と代償金の関係2/5

相続トラブル「遺産の価額」とその内容とは

出所:最高裁判所「令和6年 司法統計年報(家事編)」

相続トラブルの中でも特に多いのが、不動産を相続する代わりに、他の相続人へ「代償金」を支払うケースです。

遺産総額が1000万円以下の事案においても約6割で代償金の支払いが命じられており、手元に十分な現金がなく、自己の預貯金で対応せざるを得ない状況も少なくありません。

遺産の中心が不動産のように物理的に分割しにくい財産である場合、相続人間の負担に偏りが生まれやすくなります。

これが感情的な対立を引き起こし、話し合いが長期化する原因となりがちです。

2. 相続トラブルは都市部と地方、どちらで多い?地域別の発生件数を比較

遺産分割事件が多い家庭裁判所トップ53/5

相続トラブルが多い地域トップ5

出所:最高裁判所「令和6年 司法統計年報(家事編)」をもとにLIMO編集部作成

相続トラブルの発生件数を地域別に見ると、東京、大阪、横浜、名古屋、さいたまといった大都市圏が上位に並びます。

全国で年間1万5000件以上発生する遺産分割事件のうち、特に東京の件数は群を抜いています。

都市部では地価が高いため、自宅不動産の評価額が遺産総額の大部分を占めるケースが多く見られます。

このように、現金と違って分割が難しい不動産が遺産の中心となることで、相続人間の不公平感や、将来の居住に関する不安が生まれ、協議が円滑に進まない原因となりやすいのです。

3. 相続トラブルの解決にかかる期間は?約3分の1が1年以上、長期化する理由

遺産分割事件の審理期間の内訳4/5

審理期間、どれくらいかかることが多い?

出所:最高裁判所「令和6年 司法統計年報(家事編)」をもとにLIMO編集部作成

家庭裁判所での手続き開始から終結までにかかる時間を審理期間と呼びます。

遺産分割に関する争いは、金銭的な問題だけでなく感情的な対立も絡むため、解決が短期で済むとは限りません。

最高裁判所の「令和6年 司法統計年報(家事編)」によれば、遺産分割事件のおよそ3分の1は、解決までに1年以上の期間を要しています。

協議が長引くと、不動産の登記変更や預貯金の解約といった手続きが滞り、相続人各自の生活設計に支障をきたす恐れもあります。

そのため、相続が始まってから対応するのではなく、生前のうちに財産の分け方や希望について家族で話し合っておくことが大切です。

4. 相続の基本的な仕組みとは?法定相続分と相続人の順位について解説

相続とは、故人が所有していた財産や権利、そして義務を、遺された家族などが承継する制度を指します。

遺言書が残されていない場合は、民法に規定された「法定相続分」に基づいて遺産が分割されます。

配偶者は常に相続人となる権利を持ち、血族相続人には優先順位が定められています。

最も優先順位が高い第1順位は子、次いで第2順位が親、第3順位が兄弟姉妹です。

もし相続人である子が故人より先に亡くなっていた場合、その子(故人から見て孫)が代わりに相続する「代襲相続」という制度もあります。

注意点として、相続の対象には預貯金や不動産といったプラスの資産だけでなく、借金のようなマイナスの負債も含まれます。

相続を知った時から一定期間内に家庭裁判所で手続きを行えば、財産も負債も一切引き継がない「相続放棄」を選ぶこともできるため、まずは財産の全体像を速やかに把握することが重要です。

5. 相続トラブルを避けるために「今からできること」

ここまで、司法統計のデータをもとに、相続トラブルが発生しやすい家庭の傾向や背景、今からできる対策について解説しました。

データが示すように、トラブルの大半は遺産総額5000万円以下のごく普通の家庭で発生しています。

相続トラブルは、遺産額1000万円以下のケースで、全体の約35%を占めています。

特に都市部では、遺産の中心が分割しにくい不動産であることが多く、それが争いの原因となりやすい傾向にあります。

相続をめぐる問題は、解決までに1年以上を要することも珍しくなく、その間の生活への影響は軽視できません。

「我が家は問題ない」と安易に考えず、元気なうちから家族間で財産状況や、将来の希望について話し合っておくことが円満な相続への鍵となります。

まずは相続の基本的な知識を身につけ、円滑な資産承継に向けた第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

※当記事は再編集記事です。

参考資料

マネー編集部