近年、私たちの生活やビジネスの現場で「生成AI」の普及が急速に進んでいます。就職活動においても、効率的な情報収集や資料作成にAIを活用する学生が増えており、同時に企業側でも業務効率化のためにAIを導入する動きが活発化しています。

そんな中でZ世代の就活生は、志望企業の「生成AI活用環境」をどのように捉えているのでしょうか。今回は、就活においてAI環境をどれほど重視しているのか、就活生の本音を探っていきます。

1. 就活生の「生成AI活用環境」をどう考えている?

リサピー®︎が実施した「生成AI活用環境と大学生の企業選択に関する実態調査」を見ていきましょう。

1.1 h3:調査概要

  • 調査名称:生成AI活用環境と大学生の企業選択に関する実態調査
  • 調査方法:IDEATECHが提供するリサーチマーケティング「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
  • 調査期間:2025年12月05日〜同年12月8日
  • 有効回答:プライベートで週1回以上生成AIを利用しており、現在就職活動中または就職活動を予定している大学生325名

1.2 就活生の約6割が「生成AIの活用環境」を重視

あなたは、就職先を選ぶ際に、企業が生成AI(ChatGPT、Claudeなど)を業務で活用できる環境かどうかを重視しますか。1/7

あなたは、就職先を選ぶ際に、企業が生成AI(ChatGPT、Claudeなど)を業務で活用できる環境かどうかを重視しますか。

出所:リサピー®︎「生成AI活用環境と大学生の企業選択に関する実態調査」

あなたは、就職先を選ぶ際に、企業が生成AI(ChatGPT、Claudeなど)を業務で活用できる環境かどうかを重視しますか。

  • 非常に重視する:19.7%
  • やや重視する:38.5%
  • あまり重視しない:25.2%
  • 全く重視しない:12.6%
  • わからない/答えられない:4.0%

「就職先を選ぶ際に企業が生成AIを業務で活用できる環境かどうか」について「非常に重視する」が19.7%、「やや重視する」が38.5%で、合わせて58.2%に達しました。

では、なぜこれほどまでにAI環境が重要視されるのでしょうか。次の章ではその理由を見ていきます。

2. 生成AI活用を重視する理由は「もはや当たり前」だから?

Q1で「非常に重視する」「やや重視する」と回答した方にお聞きします。企業の生成AI活用環境を重視する理由を教えてください。(複数回答)2/7

Q1で「非常に重視する」「やや重視する」と回答した方にお聞きします。企業の生成AI活用環境を重視する理由を教えてください。(複数回答)

出所:リサピー®︎「生成AI活用環境と大学生の企業選択に関する実態調査」

Q1で「非常に重視する」「やや重視する」と回答した方にお聞きします。企業の生成AI活用環境を重視する理由を教えてください。(複数回答)

  • AIを使いこなせる環境が当たり前の時代だと思うから:53.4%
  • 効率的に仕事ができる環境で働きたいから:46.0%
  • 入社後に自分のスキルを伸ばせる環境で働きたいから:36.5%
  • 時代の最先端を走る企業で働きたいから:25.4%
  • AI使えない環境では成長できないと思うから:21.7%
  • 将来のキャリアに役立つスキルを身につけたいから:19.6%
  • 周囲の社員もAIを使いこなせる環境で刺激を受けたいから:17.5%
  • AI禁止の企業は時代遅れだと感じるから:10.1%
  • その他:0.5%
  • わからない/答えられない:2.6%

AIを業務で活用できる環境かどうかを重視する理由として「AIを使いこなせる環境が当たり前の時代だと思うから」が53.4%で過半数となっています。

多くの学生にとって、AIは特別なツールではなく「時代に即した標準装備」であり、自己成長や業務効率化に欠かせない要素となっていることがわかります。

3. AI禁止企業は「時代遅れ」?半数以上がネガティブな印象

あなたは、生成AIの利用が禁止されている、または社員の多くが生成AIを使いこなせていない企業に対してどのように感じますか。3/7

あなたは、生成AIの利用が禁止されている、または社員の多くが生成AIを使いこなせていない企業に対してどのように感じますか。

出所:リサピー®︎「生成AI活用環境と大学生の企業選択に関する実態調査」

あなたは、生成AIの利用が禁止されている、または社員の多くが生成AIを使いこなせていない企業に対してどのように感じますか。

  • 非常にネガティブに感じる(入社したくない):10.8%
  • ややネガティブに感じる(志望度が下がる):41.2%
  • あまり気にならない:33.5%
  • 全く気にならない:9.2%
  • わからない/答えられない:5.2%

生成AIの利用が禁止されていたり、社員の多くが使いこなせていなかったりする企業に対しては「非常にネガティブに感じる(入社したくない)」が10.8%、「ややネガティブに感じる(志望度が下がる)」が41.2%で、計52.0%の学生がネガティブな印象を抱いています。

生成AIの活用が当たり前となっていることが、生成AIに後ろ向きな企業に対しての就活生の態度からもわかりますね。

3.1 生成AI禁止企業にネガティブな理由は「変化に対応できていないと感じる」

Q3で「非常にネガティブに感じる」「ややネガティブに感じる」と回答した方にお聞きします。そのように感じる理由を教えてください。(複数回答)4/7

Q3で「非常にネガティブに感じる」「ややネガティブに感じる」と回答した方にお聞きします。そのように感じる理由を教えてください。(複数回答)

出所:リサピー®︎「生成AI活用環境と大学生の企業選択に関する実態調査」

Q3で「非常にネガティブに感じる」「ややネガティブに感じる」と回答した方にお聞きします。そのように感じる理由を教えてください。(複数回答)

  • 時代の変化に対応できていない企業だと思うから:45.6%
  • 企業の競争力やレベルが低いと感じるから:37.3%
  • 将来性がない企業だと感じるから:27.8%
  • 入社後に成長やスキル習得の機会が少ないと感じるから:27.2%
  • 非効率な働き方を強いられそうだから:27.2%
  • 周囲の社員のスキルレベルが低そうだから:21.9%
  • 自分のキャリア形成にマイナスになると思うから:12.4%
  • その他:0.0%
  • わからない/答えられない:2.4%

生成AI活用が当たり前となっているからこそ、後ろ向きな企業には「時代の変化に対応できていない企業だと思う」「企業の競争力やレベルが低いと感じる」「将来性がない企業だと感じる」という意見があります。

また、そのような企業では「入社後に成長やスキル習得の機会が少ないと感じる」「非効率な働き方を強いられそう」という声もあり、企業としてだけではなく、自身のキャリアや働き方にもマイナスになると考えているようです。

生成AI活用の消極的な姿勢は「企業の成長性」や「個人のキャリア形成へのマイナス」として捉えられてしまうリスクがあると言えるでしょう。

4. Z世代が就職先に期待する「AI活用の機会」

あなたは、就職先の企業に対して、生成AI活用に関してどのような環境や機会を期待しますか。(上位3つまで回答可)5/7

あなたは、就職先の企業に対して、生成AI活用に関してどのような環境や機会を期待しますか。(上位3つまで回答可)

出所:リサピー®︎「生成AI活用環境と大学生の企業選択に関する実態調査」

あなたは、就職先の企業に対して、生成AI活用に関してどのような環境や機会を期待しますか。(上位3つまで回答可)

  • 業務で生成AIを実践的に活用できる機会:39.7%
  • 入社時や入社後に生成AIスキルを学べる研修プログラム:23.7%
  • 安全に利用できるガイドラインやルールの明確化:22.8%
  • 生成AI活用の成功事例やノウハウの社内共有:21.2%
  • 最新の生成AIツールの積極的な導入:21.2%
  • 生成AI活用を推奨・評価する企業文化:19.4%
  • 生成AIを使いこなせる先輩社員からの指導:18.5%
  • 外部セミナーや学習機会への参加支援:5.5%
  • その他:0.6%
  • 特に期待していない:17.8%
  • わからない/答えられない:5.2%

就活生は単に「AIを自由に使わせてほしい」のではなく、スキルアップのための教育体制や、リスク管理のためのルール作りまでをセットで求めていることがわかります。

生成AIは、ルールを決めずに利用してしまうと、機密情報の漏洩などの問題も生まれてしまいます。

従業員が生成AIを正しく、積極的に活用できるようにするためにも、企業を守り成長させていくためにも、生成AIのルール作りや研修の充実が必要だと言えますね。

5. 生成AI活用に当たって注意すべきポイントは?

ここからは、総務省が公表している「生成AIはじめの一歩~生成AIの入門的な使い方と注意点~」をもとに、生成AIを活用するうえで注意すべき点を見ていきましょう。

生成AI活用に当たって注意すべきポイント6/7

生成AI活用に当たって注意すべきポイント

出所:総務省「生成AIはじめの一歩~生成AIの入門的な使い方と注意点~ 」

情報の正確性

  • 無意識のうちに合理的ではない行動、偏った判断をすることがあるという意識を持つ
  • チェックリストを用いて真偽を判断する
  • 安易に拡散しない / 拡散したいときはひと呼吸おく

情報流出

  • 生成AIサービスの規約を確認する(商用利用可否、損害発生時の責任所在等)
  • 個人情報や機密情報の入力は必要最小限にする
  • 生成AIに入力したデータを学習に使わせないように設定する

知的財産権の侵害

  • 既存のものや実在の人物に似たものを生成するような指示入力を避ける
  • 生成物が既存のものや実在の人物に類似している場合、利用をやめる / 権利者から許諾を取得後に利用する / 既存のものと類似しないよう大幅に加工する

活用者としてのモラル

  • 本来自分が行うべきことまで生成AI任せにしない
  • 生成AIが作った偏見のある回答を使用しない
  • 生成AIを非倫理的な行為や犯罪に悪用しない

生成AI活用に当たって注意すべきポイントとして、情報の正確性や機密情報などの流出、知的財産権の侵害、モラルなどが挙げられています。
生成AIの導入前に、これらを遵守するための企業内ルールを作ることが必要ですね。

こうした動きの中で、あえて「採用でAIを使わない」ことを決めた企業があります。
次からは、その企業の具体例を見ていきましょう。

6. 「採用でAIを使わない」決断をした企業:ロート製薬の事例

ロート製薬では、2027年新卒採用において、これまでの主流だったエントリーシート(ES)による書類選考を廃止し、社員と15分間直接話すことから始める「Entry Meet採用」を導入しました。

同社が効率的な「AI面接」や「AI選考」ではなく、あえて「まず会う」というスタイルを選んだ背景には、就活が効率や対策に寄りすぎてしまい、かえって学生の負担が増えているという構造への懸念があるようです。

企業にたくさんの書類が届き、選考しなければならないことから、学生は選考通過企業を増やすためにもたくさんのESを書くという状況に、同社は疑問を持ち、書類選考を廃止したとのこと。15分間でも会って話すことは、その人の価値観を探り、想いを確かめていく手段だと言えます。

同社はAIそのものを否定するのではなく、「人と向き合う採用」を守るためにあえて手間をかけるという、新たな企業の姿勢を示しています。

7. まとめにかえて

企業にとって、生成AIの導入がもはや業務効率化のためだけではなく、「時代の変化に対応し、就活生に来てもらうための必須条件」になりつつあることがわかります。

「AI禁止」というルールが、意図せず「時代の変化に疎い」というメッセージとして学生に伝わってしまう今、企業にはAIの安全な利用環境の整備が急務となっています。

しかし、なんでもAIに頼ればよいというわけではないことも事実。AIができることを見極め、人の手をかけるべきところでは人が働いていくことが大切だと言えるでしょう。

参考資料

LIMO・U23編集部