物価高に悩まされた2025年。2026年も引き続き物価高の影響は避けられないでしょう。こうしたなかで、昨年末には生活保護の仕組みに動きがありました。

現在、生活保護費には「特例加算」といわれる上乗せ額が支給されています。現行は1500円ですが、2026年10月から1000円引き上げられ2500円になる予定です。

この記事では、特例加算の仕組みや1000円引き上げの理由、改正後の実際の支給額について解説します。

1. 生活保護と特例加算の仕組み

生活保護は、健康で文化的な最低限度の生活を保障するために、困窮する人を保護し自立を助長する制度です。世帯人数や年齢、居住地域によって定められる「最低生活費」から収入を差し引いた金額が保護費として支給されます。

保護費の中心となるのが「生活扶助」です。生活扶助は、以下の2つから成り立ちます。

  • 基準額:年齢や世帯人数に応じて決まる金額
  • 加算:さまざまな事情を考慮して上乗せされる金額

このうちの加算のひとつが、特例加算です。

特例加算は、近年の物価高に対応し、物価高騰による生活費の増加を補填するために上乗せされている費用です。2025年10月に、それまでの1000円から1500円へと引き上げられました。そして、2026年10月からは、さらに1000円引き上げられ、2500円の加算となる予定です。

次章では、なぜ特例加算が再度引き上げられることになったのか、解説します。

2. 特例加算が1000円引き上げられる理由

特例加算が1000円引き上げられる理由は、物価高の影響が大きいことが挙げられます。2025年11月分の消費者物価指数は、2020年を100として113.2となっており、前月比0.4%の上昇、前年同月比では2.9%の上昇と、依然として高い状況が続いています。なかでも食料の指数については128.6と、とりわけ高くなっており、日常生活への影響は必至です。

生活保護の役割は、困窮する国民のセーフティネットになることです。物価高に対応できない金額では、最低限度の生活を保障できません。こうした状況を考慮し、政府は特例加算の引き上げを決めました。今回の措置は2026年10月から1年間限定のものとしていますが、物価の状況によっては再度の引き上げや措置の延長も考えられるでしょう。

次章では、2026年10月からの支給額を見ていきます。

3. 【シミュレーション】2026年10月からの支給額はいくら?

特例加算の引き上げにより、生活保護費はいくら支給されるのでしょうか。実際にシミュレーションしてみましょう。今回は、以下の条件でシミュレーションをします。

  • 45歳・単身
  • 東京23区在住
  • 賃貸物件に居住

上記の条件の場合、基本的に受けられる扶助は「生活扶助」と「住宅扶助」の2つです。生活扶助は、前述のとおり基準額や加算額をもとに金額が決定します。

生活保護は級地によって基準額が異なります。一般的には、1級地は都市部、2級地は中核市、3級地はその他地方が該当します。

45歳で1級地-1の地域に居住する人の基準額は、4万6930円です。ここに逓減率を掛け、世帯人数ごとの基準額を足します。計算後の生活扶助基準は、以下のとおりです。

  • 4万6930円×1.0000+2万7790円=7万4720円

ここに特例加算が加わります。2026年10月から特例加算は2500円となるため、生活扶助の合計額は以下の金額になります。

  • 7万4720円+2500円=7万7220円

生活扶助の合計は、7万7220円です。

住宅扶助についても、級地ごとに支給額が異なります。1級地の場合は5万3700円を上限として支給されます。

よって、保護費の合計は以下のとおりです。

  • 7万7220円+5万3700円=13万920円

この金額が最低生活費となり、収入との差額が支給されます。収入がない場合は、この金額がそのまま支給されると考えてよいでしょう。特例加算の増額により、最高で月額13万円を超える金額が支給されるようになる見込みです。

次章では、年金受給額とのバランスを見てみましょう。

4. 年金受給額とのバランスは?

生活保護費とよく比較されるのが年金受給額です。厚生年金と基礎年金の合計の平均受給額は15万289円であり、1級地の最低生活費ラインを超える金額です。しかし、なかには厚生年金をほとんど受け取れない人もいます。そうした人は基礎年金を中心に受給することになります。

基礎年金は月額6万9308円(2025年度)と、生活保護の最低生活費には及ばない金額です。そのため、年金と保護費の格差が叫ばれることも少なくありません。

基礎年金額も物価や賃金の上昇を考慮して毎年改定されていますが、月数万円単位で上昇することはありません。また、社会保険料や医療費の負担においても、生活保護受給者は基本的に負担がありませんが、年金受給者は一定額の負担が必要です。こうした格差にどう対処していくかが、今後重要となりそうです。

5. まとめ

生活保護は、2026年10月から特例加算が再度上乗せされます。2025年10月に500円上乗せされていますが、早くも追加で増額されることになります。

加算額引き上げ後の最低生活費は、東京23区で約13万円になる見込みです。セーフティネットとして十分な機能を果たす可能性がある一方、年金受給者との格差は気になります。物価高における公的扶助のあり方を、あらためて見直していく必要がありそうです。

5.1 参考:生活保護を受けている世帯はどれくらいいる?

生活保護の被保護者調査(令和7年10月分概数)の結果3/3

生活保護の被保護者調査(令和7年10月分概数)の結果

出所:厚生労働省「生活保護の被保護者調査(令和7年10月分概数)の結果」

 

参考資料

石上 ユウキ