4月も下旬に入り、新社会人の皆さんは待ちに待った「初任給」を手にするタイミングではないでしょうか。

新生活のスタートにあたり、将来の資産形成について考え始めている方も多いかもしれません。

実際、株式会社トレジャープロモート(株の学校ドットコム)が2026年3月に実施した「資産運用に関する意識調査」によると、新社会人が「これからやってみたい資産運用」の第1位は「NISA」(43.0%)でした。

さらに、全国の個人投資家に「新社会人におすすめしたい資産運用」を聞いたところ、こちらも「NISA」が圧倒的第1位(60.3%)に。先輩たちからのアドバイスとしては「少額から無理のない範囲で」「早いうちに取り組む」「長期でコツコツ」といった声が多く寄せられました。

では、先輩たちが口を揃える「早く始めること」には、具体的にどれほどのメリットがあるのでしょうか。

その答えを知るために、本記事ではあえて「もし50歳になってから老後資金の準備を始めた場合、毎月の負担はどうなるのか」というシミュレーションを中心に解説していきます。

新NISAの基本的な仕組みを整理したうえで、「50歳スタート」の厳しい現実を確認し、最後に「若いうちから始めた場合、どれほど負担が軽くなるのか」というリアルな比較を見ていきましょう。

1. 新NISAは何が変わった?制度の基本と押さえておきたいポイント

NISA(ニーサ)は、国が個人の資産づくりを後押しするためにつくった仕組みです。2014年に始まり、2024年からは内容が見直され、「新NISA」として運用されています。

通常、株や投資信託で利益が出ると、売却益や分配金に20.315%の税金がかかります。たとえば10万円の利益が出ても、実際に受け取れるのはおよそ8万円です。

しかしNISA口座を使って投資した場合、その利益には税金がかかりません。増えた分をまるごと受け取れるため、同じ運用成績でも、長く続けるほど手取りの差が広がります。

この「利益に税金がかからない」という点が、NISA最大の特徴であり、将来に向けた資産形成に活用されている理由です。

新NISA「非課税」のしくみ2/5

新NISA「非課税」のしくみ

出所:金融庁「NISAを知る」


ただし、NISAには投資できる金額や対象商品に上限や制限があるため、利用する前に制度内容をしっかりと把握しておく必要があります。

1.1 「新NISA」の知っておきたい魅力的な6つのポイント

新NISAには、資産形成に取り組みやすくなる工夫がいくつも盛り込まれています。主な特徴は、次の6点です。

【新NISA】「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の特徴3/5

【新NISA】「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の特徴

出所:金融庁「NISAを知る」

  1. 非課税で運用できる期間に期限がなく、長期保有が可能
  2. 「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を同時に利用できる
  3. 年間の投資上限は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円
  4. 生涯で使える非課税枠は合計1800万円(うち成長投資枠は1200万円まで)※売却した枠は、翌年以降に取得価額(購入金額)ベースで再利用が可能
  5. つみたて投資枠は、長期・分散投資に適した一定の投資信託に限定
  6. 成長投資枠では、上場株式や投資信託など幅広い商品が対象

「投資はまとまったお金がないと始められない」と感じる方も多いかもしれません。

しかし実際には、数百円から購入できる投資信託もあり、新NISAを使えば少額でも株式や投資信託に投資することが可能です。無理のない金額から始められる点は、投資初心者にとって大きなメリットといえるでしょう。

次の章では、毎月コツコツ積み立てを続けた場合、将来どの程度の資産形成が見込めるのかを、シミュレーションを通して確認していきます。

2. 新NISAで5万円の積立「50歳→65歳までサボらず継続できたら」最終的な資産額はいくらになる?《想定利回り別シミュレーション》

ここからは、新NISAを利用して積立投資を行った場合、老後に向けてどの程度の資産が見込めるのかを確認していきます。

試算にあたっては、次の条件を設定し、想定する年率を1%から5%まで段階的に変えてシミュレーションを行います。

  • 積立期間は50歳から65歳までの15年間
  • 毎月の積立額は5万円
  • 運用商品は、安定的な運用を想定した年率1~5%の投資信託

2.1 【想定利回り別シミュレーション結果】「毎月5万円」×15年×「年1~5%」で積立投資

【新NISA】想定利回り別「月5万円」積立投資シミュレーション結果4/5

【新NISA】想定利回り別「月5万円」積立投資シミュレーション結果

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成

想定利回り:資産評価額(元本部分は900万円)

  • 年1%:970万6000円
  • 年2%:1048万6000円
  • 年3%:1134万9000円
  • 年4%:1230万5000円
  • 年5%:1336万4000円

15年間、毎月5万円を積み立てた場合、元本は900万円となりますが、運用状況次第では最終的な資産額が1000万円を超える可能性があります。

利回りが1%の場合でも元本に約70万円が上乗せされ、年5%で運用できたケースでは400万円以上の運用益が見込まれます。

一方で、利回りが高い商品ほど価格変動の幅も大きくなる傾向があります。こうした点を踏まえ、リスクとリターンのバランスを意識しながら、自身に合った運用方法を選ぶことが重要です。

3. 老後資金は「投資一本」で考えなくていい

3.1 老後資金の全体像を整理する

老後資金というと、投資でどれだけ増やせるかに意識が向きがちですが、実際の生活費は複数の収入源で成り立ちます。

中心になるのは公的年金であり、これに退職金や預貯金が加わります。まずは「すでに見込めるお金」がどれくらいあるのかを整理することが重要です。

3.2 新NISAの位置づけを考える

新NISAは老後資金のすべてを担うものではありません。年金や退職金で不足しそうな部分を補う手段のひとつと考えるのが現実的です。

老後資金をすべて投資で賄おうとすると価格変動への不安が大きくなりますが、「一部を投資で補う」と考えることで、精神的な負担は軽くなります。

3.3 投資に不安がある人の考え方

投資に慣れていない人ほど、「増やさなければ足りない」と思い込みがちです。しかし、老後資金は積み上げ方よりも組み合わせが重要です。

預貯金を一定額確保しつつ、余裕のある範囲で新NISAを使うという考え方でも、老後資金づくりは成り立ちます。

4. 2000万円を用意するには?積立額から考える現実的なライン

老後に必要となる資金は、住まいや家族構成によって差がありますが、ひとつの目安として「2000万円」を目標に設定するケースは少なくありません。

そこでここでは、50歳から65歳までの15年間で2000万円を準備するには、毎月いくら積み立てる必要があるのかを試算してみます。

4.1 【シミュレーション結果】「15年間」×3%で積立投資

【新NISA】積立金額別「想定利回り3%」積立投資シミュレーション結果5/5

【新NISA】積立金額別「想定利回り3%」積立投資シミュレーション結果

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成

毎月の積立金額:資産評価額

  • 1万円:227万円
  • 3万円:680万9000円
  • 6万円:1361万8000円
  • 9万円:2042万8000円
  • 12万円:2723万7000円

※想定利回り:年3%

この試算では、年率3%で運用できた場合、毎月9万円を15年間積み立てることで、資産額が2000万円を超える計算になります。

ただし、月9万円の積立は家計への負担が大きくなりがちです。また、利回りはあくまで想定であり、実際の運用結果が想定を下回る可能性も考慮しておく必要があります。

そのため、老後資金づくりは「できるだけ早く始めること」が重要なポイントになります。

たとえば、同じ年率3%でも、30歳から65歳までの35年間積み立てる場合、必要な毎月の積立額は約2万7000円程度まで抑えられます。

このように、運用期間を長く確保できれば、月々の負担を軽減しながら、将来に向けた資産形成を進めることが可能になります。

5. まとめにかえて:初任給から始める資産形成の3カ条は「少額・早期・長期」

ここまで、新NISAを活用した積立投資について、複数のシミュレーションを通じて確認してきました。

50歳から老後資金2000万円を目指す場合、月々の負担は決して軽くありません。しかし、新社会人の皆さんが20代の今から始めれば、「時間を味方につける」ことで将来に向けた負担をグッと抑えることができます。

物価上昇が続くこれからの時代、預貯金だけでお金を置いておくと、実質的な価値が目減りしてしまう可能性があります。だからこそ、先輩投資家たちが新社会人にアドバイスするように「少額から無理のない範囲で」「早いうちに取り組む」「長期でコツコツ」という3カ条が重要になるのです。

新NISAは数百円などの少額から始めやすく、まさにこの「少額・早期・長期」の資産形成と非常に相性の良い制度です。

初めての給与を手にするこのタイミングをきっかけに、まずは無理のない範囲で、ご自身のライフプランに合った資産形成の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

参考資料