2. 70歳代・二人以上世帯の貯蓄事情:平均値と中央値から見る実態

次に、金融経済教育推進機構(J-FLEC)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」のデータを用いて、70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を持たない世帯を含む)の実態をグラフと共に見ていきましょう。

※ここでの金融資産保有額は、預貯金の他に株式、投資信託、生命保険などを含みます。ただし、日常的に出し入れする普通預金の残高は対象外です。

【貯蓄額の一覧表】70歳代・二人以上世帯

【貯蓄額の一覧表】70歳代・二人以上世帯

出典:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとにLIMO編集部作成

調査によると、「70歳代・二人以上世帯」の平均貯蓄額は2416万円です。しかし、この平均値は一部の富裕層が数値を引き上げているため、必ずしも一般的な家庭の実情を正確に表しているとは限りません。

より実態に近いとされる中央値は1178万円であり、多くの世帯の貯蓄額がこの水準に近いと推測されます。

さらに詳しく世帯ごとの貯蓄状況を理解するために、以下の分布データを確認します。

  • 金融資産を保有していない:10.9%
  • 100万円未満:4.5%
  • 100万円以上200万円未満:5.1%
  • 200万円以上300万円未満:3.7%
  • 300万円以上400万円未満:3.9%
  • 400万円以上500万円未満:2.9%
  • 500万円以上700万円未満:6.4%
  • 700万円以上1000万円未満:6.7%
  • 1000万円以上1500万円未満:11.1%
  • 1500万円以上2000万円未満:6.7%
  • 2000万円以上3000万円未満:12.3%
  • 3000万円以上:25.2%
  • 無回答:0.6%

70歳代・二人以上世帯で最も割合が高いのは、「3000万円以上」の層で、全体の25.2%を占めています。

その一方で、金融資産を全く保有していない世帯も10.9%存在しており、資産状況に大きな格差があることが見て取れます。

老後の貯蓄額は、退職金の有無、現役時代の収入、相続、あるいは健康状態といった様々な要因に影響されます。

また、公的年金の受給額も現役時代の働き方によって個人差が大きいため、貯蓄が少ない世帯では年金収入だけで生活を維持することが困難なケースも考えられます。

安定した老後を送るためには、それぞれの家庭の状況に合わせた生活設計が不可欠です。

例えば、健康なうちはパートタイムで働く、不動産や投資から副収入を得る道を模索するなど、家計やライフプランに応じた備えをしておくことが将来の安心につながるでしょう。