私たちが納めた年金保険料の一部は、将来に備えて「年金積立金」として運用されていることをご存知でしょうか。
運用を担うGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が2025年11月に発表した最新報告によると、2001年度からの累積収益率は年率+4.51%と、着実な成果を上げています。特に直近(2025年度第2四半期)の期間収益は+5.52%を記録しており、世界最大級の投資家としての実力を示しました。
公的年金という「絶対に失敗できない資産」を、プロはどのように守り、増やしているのか。その堅実なポートフォリオ(資産配分)には、個人の資産形成においてもマネしたいヒントが隠されています。
本記事では、GPIFの最新の運用状況を紐解くとともに、この「プロの手法」を参考にNISAで「毎月3万円」を積立投資した場合のシミュレーションを解説。年率4〜5%で運用できた場合、10年後・20年後・30年後の資産がどう変わるのか、その結果を見ていきましょう。
1. 【年金積立金の運用状況】2025年7-9月期は収益率+5.52%に
公的年金の積立金を管理・運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、2001年度の市場運用開始以来、年率換算で+4.51%という安定した収益率を達成しています。
直近の2025年度第2四半期(7月~9月)における期間収益率は+5.52%と、好調な結果を示しました。
下記のグラフが示すように、短期的には市況によって収益が変動する局面もありますが、長期的な視点で見ると着実に資産が積み上がっていることがわかります。
国民の大切な資産を預かる公的年金の運用には、何よりも「慎重さ」と「持続性」が求められます。そのため、GPIFは5年ごとに日本の経済情勢や将来予測に基づき、運用方針をゼロベースで見直しています。
2025年4月からスタートした最新の「第5期中期計画」においても、徹底した議論の末に維持されたのが、以下の「基本ポートフォリオ」です。
「国内債券・国内株式・外国債券・外国株式」の4資産に25%ずつ均等に配分するこの形は、まさにリスクを最小限に抑えつつ、安定したリターンを目指す「運用の黄金比」と言えます。
これからNISAなどで資産運用を始める方にとって、この「プロが数十年かけて導き出した配分」と「実績」は、単なるデータ以上の価値があります。
リスクを賢く管理しながら、着実に資産を増やすための最も現実的で、信頼できるお手本となるはずです。

