3. 【高額療養費制度】3割負担になっても利用したい「70歳以上の自己負担はいくら?」

医療費の負担割合にかかわらず、高額な医療費の負担を緩和する「高額療養費制度」が利用できます。

高額療養費制度は、1ヵ月の医療費の自己負担限度額を超えて医療費を支払った場合、超えた分が全額払い戻される制度です。

自己負担限度額は、年収・所得に応じて定められた区分によって決まります。例として、70歳以上の自己負担限度額を見てみましょう。

自己負担額

自己負担額

出所:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」をもとに筆者作成

70歳以上

  • 年収約1160万円〜:25万2600円+(医療費-84万2000円)×1%
  • 年収約770万円~約1160万円:16万7400円+(医療費-55万8000円)×1%
  • 年収約370万円~約770万円:8万100円+(医療費-26万7000円)×1%
  • 年収156万円~約370万円:5万7600円
    ※外来は18000円、年間14万4000円
  • 住民税非課税世帯:2万4600円
    ※外来は8000円
  • 住民税非課税世帯(年金収入80万円以下など):1万5000円
    ※外来は8000円

現役並み所得の人は、少なくとも「8万100円+(医療費-26万7000円)×1%」以上の負担を超えた場合に、高額療養費制度を利用できます。1ヵ月の負担額がこの金額以下であれば、払い戻しは受けられません。なお、入院時の食費や差額ベッド代などは、別途自己負担が必要です。

制度を利用するには、以下の手続きのいずれかをします。

  • 一度窓口で全額立て替えたのち、後日健康保険に申請書を提出する
  • 限度額適用認定を受ける
  • マイナ保険証で受診する

後日申請の際は窓口で医療費の立て替えが必要ですが、限度額適用認定を受けたり、マイナ保険証で受診したりすれば、医療費の負担額が自己負担限度額までに抑えられます。なかでもマイナ保険証は、事前に保険証機能を紐づけておけば、以降は手続きなしで高額療養費制度を利用可能です。こうした仕組みを有効活用して、負担額を極力抑えるようにしましょう。