2. 【後期高齢者医療制度】「給与・不動産収入がある」自己負担3割になる可能性がある人

前述のとおり、単身世帯で年収約383万円以上、複数人世帯で年収約520万円以上であれば、医療費負担が3割になります。医療費が3割負担になる可能性のあるケースとして、以下の3つには注意しましょう。

  • 給与収入や不動産収入などがある場合
  • 世帯員に現役並み所得者がいる場合
  • 資産を売却した場合

医療費が3割となる現役並み所得の基準額は、年金収入だけでなく、その他の所得も合算して該当するかどうかを判断します。そのため、年金が少なくても、給与収入や不動産収入のような年金以外の収入源がある人は、現役並み所得者に該当しやすくなります。たとえば、アパート経営による家賃収入があったり、企業顧問として報酬を得ていたりする場合は要注意です。

また、世帯に現役並み所得者がいる場合、自身の年収が少ない場合でも現役並み所得者と同様に、医療費を3割負担しなければなりません。配偶者の収入が多く、自身が専業主婦(夫)といったケースは、このパターンで医療費負担が3割になる可能性があるため、注意しましょう。

このほか、資産を売却した際も注意が必要です。たとえば、株式や土地を売却したのち、得た利益や配当金については所得とみなされます。そのため、一時的に所得が増えやすく、現役並み所得者に該当する可能性が高まるのです。

医療費の負担割合は、毎年8月1日に、前年1月〜12月の所得・収入にもとづき決定されます。よって、売却した年に負担が増えるのではなく、翌年に負担が増えます。家計に影響が出るまでタイムラグがあるため、資産を売却した際はあらかじめ医療費の負担増に備えておくとよいでしょう。

次章では、医療費3割負担でも利用できる「高額療養費制度」について解説します。