4. まとめにかえて

今回の記事では、厚生労働省の調査結果をもとに、公的年金の受給状況と、最新の年金制度改正がもたらす影響について解説しました。

まず、国民年金・厚生年金を合わせた平均支給額は月14万円台であり、「月15万円」を超える受給者は全体の半数にも満たないという現状を確認しました。年金だけでは生活費をすべてまかなうのが難しい場合もあるかもしれません。このため、iDeCoや働き方の工夫といった「自助の取り組み」を計画的に検討することが大切ですね。

特に注目すべきは、短時間労働者の平均年齢が一般の被保険者より高い傾向にあるという点です。これは、社会保険の加入拡大によって将来の年金額を増やす大きなチャンスが、年金受給世代に近い方々に広がっていると言えます。

直近で成立した年金制度改正法により、社会保険の加入対象は段階的に広がります。厚生年金に加入することで、将来の年金額が増えるだけでなく、万が一の際の障害年金・遺族年金や、休業時の傷病手当金といった現役世代の保障も手厚くなります。

「扶養を意識してセーブする」働き方から、「自分らしい働き方を選んで年金を増やす」という選択肢が現実的になっています。これを機に、ご自身の働き方を見直し、将来にわたる安心感を高めるための「自分事」として、計画的な備えを進めてみてはいかがでしょうか。

参考資料

村岸 理美