8. 年金生活者支援給付金の「対象者」と「支給要件」を確認
ここでは、3種類ある年金生活者支援給付金の支給要件をそれぞれ見ていきましょう。
「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」は、障害基礎年金または遺族基礎年金の受給者で、前年の所得が479万4000円以下の方が対象です。
ただし、障害年金や遺族年金といった非課税収入は所得の判定には含まれません。また、扶養親族の人数に応じて所得の基準額は上がります。
「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件は少し複雑なため、詳しく解説します。
8.1 老齢年金生活者支援給付金の対象者と支給要件
以下の要件をすべて満たす方が、老齢年金生活者支援給付金の支給対象となります。
- 65歳以上で老齢基礎年金を受給している
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税である
- 前年の公的年金などの収入金額(※1)と、その他の所得の合計額が一定額以下である(昭和31年4月2日以降生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下)(※2)
※1 障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれません。
※2 基準額をわずかに超える方には、公平性を保つため「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される場合があります。対象となるのは、昭和31年4月2日以降生まれで合計額が80万9000円を超え90万9000円以下の方、昭和31年4月1日以前生まれで80万6700円を超え90万6700円以下の方です。
老齢年金生活者支援給付金の所得判定において、障害年金や遺族年金などの非課税収入は計算に含まれない点も覚えておきましょう。
8.2 障害年金生活者支援給付金の対象者と支給要件
障害年金生活者支援給付金は、下記の要件を両方満たす方が対象です。
- 障害基礎年金の受給者であること
- 前年の所得(※)が479万4000円以下であること(扶養親族の数に応じて基準額は増えます)
※ 障害年金などの非課税収入は所得に含みません。
8.3 遺族年金生活者支援給付金の対象者と支給要件
遺族年金生活者支援給付金は、以下の要件をすべて満たす方が対象となります。
- 遺族基礎年金の受給者であること
- 前年の所得(※)が479万4000円以下であること(扶養親族の数に応じて基準額は増えます)
※ 遺族年金などの非課税収入は所得に含みません。
金額そのものは大きくないものの、長い老後を考えると、積み重ねによって家計の支えになる場面も多いはずです。
利用できる公的な支援をきちんと受け取ることは、安心して暮らしていくためにとても大切です。この機会に、ご自身やご家族が対象になっていないか、一度チェックしてみましょう。
9. まとめにかえて
この記事では、「給付付き税額控除」の仕組みや検討される背景をわかりやすく紹介しました。あわせて、支援の対象になりやすい「住民税非課税世帯」の条件や、シニア向けの給付金としてすでに制度化されている「年金生活者支援給付金」についても触れてきました。
物価高や社会情勢の変化に合わせて、今後も新しい支援策が出てくる可能性があります。大切なのは、こうした情報を「自分には関係ない」と思わず、使える制度はしっかり活用することです。
日本の公的支援は、対象になっていても自分から申請しないと受け取れない仕組みがほとんどです。
自治体から届く案内は見逃さずチェックし、最新情報がないか常にアンテナを張っておくことが大切です。
※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。
参考資料
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」
- 自由民主党「もう一度信頼される自民党に 高市新総裁が就任会見」
- 自民党広報「X(旧Twitter)公式アカウント」
- 神戸市「住民税(市県民税)が課税されない所得額はいくらですか?」
- e-Stat 政府統計の総合窓口「令和6年国民生活基礎調査」
- 総務省「個人住民税」
- 首相官邸「X(旧Twitter)公式アカウント」
- 首相官邸ホームページ「令和7年10月24日 第219回国会における高市内閣総理大臣所信表明演説」
中本 智恵



