4. 年金にまつわる疑問③:「支払った保険料の元は取れない」は本当か?

公的年金は、老後の生活資金となる老齢年金だけでなく、病気やケガで働けなくなった際の障害年金や、一家の働き手を亡くした際に支給される遺族年金など、万が一の事態に備える保障も含まれた社会保険制度です。この制度は、私たちが支払う保険料と税金(国庫負担)を財源とし、現役世代が高齢者世代を支える「世代間扶養」の考え方で成り立っています。

世代と世代の支えあい

世代と世代の支えあい

出所:日本年金機構「知っておきたい年金のはなし」

公的年金には「所得再分配」の機能も備わっています。これにより、現役時代の収入に大きな差があったとしても、将来受け取る年金額の差はそれほど大きくならないように調整される仕組みになっています。

公的年金の所得再分配機能

公的年金の所得再分配機能

出所:厚生労働省「令和6(2024)年財政検証関連資料①」

したがって、「支払った保険料に対して、将来いくら受け取れるか」という損得だけで年金制度を評価するのは、その本質を見誤るかもしれません。公的年金は単なる貯蓄ではなく、生涯にわたって保障が続く「終身保険」に近い性質を持っています。長生きのリスクや、予期せぬ病気や事故、死亡といったリスクに備えるための「保険」として捉えることで、その本当の価値を理解しやすくなるでしょう。