2. 年金制度の見直し、社会保険加入の拡大「これから誰にどんな影響が?」

今年6月13日に、働き方や男女の差などに中立的で、多様なライフスタイルに対応できる年金制度の構築を目指す「年金制度改正法」が成立しました。

社会保険の加入対象の拡大

社会保険の加入対象の拡大

出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」

その結果、働き方によっては、第3号被保険者から第2号被保険者(社会保険に加入する立場)へ移る方も増えると見込まれます。

社会保険へ加入することで、将来の安心につながるメリットも得られます。たとえば老後の年金額が増えるほか、病気やケガで働けないときに収入を補う仕組みが利用できるようになります。以下に代表的なポイントをまとめます。

2.1 年金額の増加

社会保険に加入することで年金額が増えます。たとえば、国民年金のみに40年加入した場合の年金額が年間約80万円(令和5年度の満額)であるのに対し、国民年金に40年、厚生年金に20年加入した場合は、年金額は年間約92万円(老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計)に増額されます。

厚生年金に加入すると、老齢年金だけでなく、障害年金や遺族年金など、万が一のときの保障も充実します。加入期間が長くなるほど、将来受け取れる年金額は増える傾向にあります。

2.2 傷病手当金

社会保険に加入している場合、病気やケガで会社を4日以上休んだ際、所得の一定割合が支給される「傷病手当金」を受け取ることができます。
国民健康保険だけに加入している場合はこの制度がないため、休業中の生活を支えてくれる大切なしくみといえます。

なお、社会保険加入の目安となる「年収106万円の壁」に含まれる月額賃金要件(8.8万円以上)は、将来的な見直しが検討されています。働き方の選択肢が広がることで、自分に合った働き方を選びやすくなると期待されています。