4. 【カニはぜいたく品?】物価高が直撃する年末年始の「食費予算」事情

ここで、クックパッド株式会社が発表した「物価高と年末年始の食費に関する実態調査(2025年12月)」から、現在のリアルな消費心理を探ります。

4.1 食料品価格の激変

2025年10月の消費者物価指数(2020年比)では、食料全体で+28.1%、魚介類は+33.1%、穀類にいたっては+52.2%と、食卓の基本食材が軒並み3〜5割上昇しています。

この影響で、実に83.9%の人が「昨年より食費が増えた」と回答しています。

4.2 年末年始の予算は「2万円未満」が過半数

物価が劇的に上がっているにもかかわらず、年末年始(12月31日〜1月3日)の食費予算は「1万円以上〜2万円未満」とする人が57.04%と、昨年からほぼ横ばいの傾向です。

「予算を増やせない、でも祝いたい」という切実な状況がうかがえます。

4.3 約5人に1人が「カニを諦める」

予算を維持するため、高価な正月食材を断念する動きが顕著です。

  • カニを諦める: 21.1%
  • いくらを諦める: 18.3%
  • 数の子を諦める: 12.1%
  • おせちの品目数を減らす: 15.2%

購入をやめるメニューには、栗きんとん、数の子、黒豆など、「高価」かつ「手間がかかる」ものが上位に挙がっています。

こうした中、クックパッドでの検索傾向は「豪華食材」から、「予算を抑えても豪華に見える」「短時間で作れる」「子どもが喜ぶ」といった、工夫で物価高を乗り切るレシピへとシフトしていることも言及されています。

5. まとめにかえて

2025年も止まらない物価高。総務省の調査では、65歳以上の無職世帯で毎月約3.4万円の赤字が発生するなど、老後の家計は切実な状況にあります。

特に負担が重いのは「食費」です。二人以上世帯の平均は月7万5258円ですが、支出がピークの50歳代では約8.1万円に達します。

クックパッドの最新調査でも回答者の8割以上が食費増を実感。年末年始の予算を「2万円未満」に抑える家庭が過半数で、5人に1人がカニなどの高級食材を断念するなど、お正月の過ごし方にも変化が出ているようです。

しかし、ただ我慢するだけではなく、お手頃な食材を豪華に見せる知恵や時短レシピを駆使し、賢く楽しむ人も増えています。

公益財団法人生命保険文化センター「2025(令和7)年度生活保障に関する調査《速報版》」によると、夫婦二人の世帯がゆとりある老後を過ごすためには、ひと月平均39万1000円が必要という結果も。

まずは現実の収支を把握し、無理のない範囲で「かける所」と「削る所」のメリハリをつけることが大切です。物価高に負けない工夫で、穏やかな新年を迎えたいものですね。

参考資料

7. 【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。