3. 厚生年金・国民年金の平均受給月額はいくら？
厚生労働省年金局が公表した『令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』を基に、厚生年金と国民年金の平均受給月額を確認します。
※本記事で扱う厚生年金の金額は、民間企業に勤務していた方が対象の「厚生年金保険（第1号）」であり、国民年金（基礎年金）部分を含んだ額です。
3.1 厚生年金の平均受給月額（全体・男女別）
- 全体平均：14万6429円
- 男性平均：16万6606円
- 女性平均：10万7200円
※上記の金額は、民間企業に勤務していた方が受け取る「厚生年金保険（第1号）」の月額です。
3.2 国民年金の平均受給月額（全体・男女別）
- 全体平均：5万7584円
- 男性平均：5万9965円
- 女性平均：5万5777円
国民年金の保険料は一律であるため、受給額に大きな差は生じにくく、男女ともに平均月額は5万円台となっています。
2025年度の満額受給額が月額6万9308円であることを考えると、国民年金のみで月10万円を超えることは難しいのが現状です。
対照的に、厚生年金は国民年金に上乗せされる2階部分であり、保険料が収入に比例するため、将来の受給額には個人差が大きくなる特徴があります。
3.3 平均的な年金受給額で生活費はまかなえるのか
これらの平均受給額で、老後の生活費をまかなうことは可能なのでしょうか。
総務省の『家計調査報告［家計収支編］2024年（令和6年）平均結果の概要』によれば、65歳以上の無職世帯における1カ月の消費支出は、二人以上世帯で25万6521円、単身世帯で14万9286円となっています。
先述の通り、公的年金の平均月額は厚生年金で約14万6000円、国民年金で約5万8000円です。
この消費支出額と比較すると、単身世帯の場合、月20万円程度の年金があれば生活費をカバーできる計算になります。
夫婦世帯でも、どちらか一人が月20万円以上受給できれば、生活費の多くを年金でまかなえる可能性が見えてきます。
国民年金のみでは生活費の確保が難しいことを踏まえると、一人あたり月10万円の年金収入が、生活を支える一つのラインとなりそうです。
それでは、厚生年金（国民年金部分を含む）受給者のうち、「月10万円未満」の方と「月20万円以上」の方では、どちらの割合が高いのでしょうか。
