2025年も12月を迎え、年の瀬が迫ってきました。年金を受給されている方にとっては、12月15日が年内最後の支給日となります。

暖房費用やクリスマスの準備など、年末年始の出費を前に、ご自身の年金受給額について改めて考える方も多いかもしれません。

厚生労働省年金局の最新データによれば、厚生年金受給者の平均月額は約14万6000円となっています。

ただし、これはあくまで平均値です。

実際には、現役時代に加入していた年金の種類や年金の加入期間、働き方や収入などによって、老後受け取れる年金額は大きく異なります。

では、厚生年金と国民年金を合わせた受給額が月10万円に満たない方は21.2%いる一方で、月20万円以上を受け取っている方はどのくらいいるのでしょうか。

この記事では、公的年金制度の基本を振り返りながら、年金受給額の分布や、多くのシニア世帯が「年金だけではゆとりがない」と感じている理由について、データをもとわかりやすく解説します。

1. 年金生活で「ゆとりがない」と感じる背景

1.1 60歳代・70歳代の約3割が回答「年金だけでは生活費をまかなえない」

金融経済教育推進機構(J-FLEC)が公表した『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和6年)』によると、60歳代の32.6%、70歳代の30.6%が「年金だけでは日常生活費をまかなうのが難しい」と回答しています。

年金生活にゆとりがないと感じる世帯が挙げる不安の理由として、最も多かったのは「物価上昇による支出増の見込み」で、60歳代で63.3%、70歳代で62.8%を占めました。

次に「医療費の自己負担増の見込み」が60歳代で28.3%、70歳代で34.8%、「介護費の自己負担増の見込み」が60歳代で18.1%、70歳代で26.4%と続いています。

続く物価高が家計を圧迫する状況に加え、将来の医療や介護への不安を抱えているシニア世帯の実情がうかがえます。

それでは、日本の公的年金制度の基本である「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造について確認していきましょう。