3. 「一律給付」を撤回した理由

与党である自民党は、今夏の参議院選挙で「一律2万円・子ども・非課税世帯4万円」の給付金事業を掲げましたが、民意を得られませんでした。その後総裁が交代し、一律での給付金は撤回されました。

現金給付を撤回した理由はさまざまですが、そのひとつとして「必要な人への支援ができない」ことが挙げられます。給付金は比較的早く国民に届くものですが、一律とすると生活に困っていない層にも給付金が支給されます。こうなると、以下のようなリスクが生じます。

  • 給付金が貯蓄にまわる
  • 支援が必要な低・中所得者層に手厚い支援が行き届かない

結果的に、十分な支援に至らない可能性があるのです。

給付付き税額控除であれば、多くの人が恩恵を受けられつつ、低・中所得者への手厚い支援も可能です。平等性を保ちつつ適切な効果が見込まれることから、現在制度の設計を進めています。

次章では、年収の壁との比較をしてみましょう。