11月21日に、高市早苗首相は経済対策として物価高への支援や防衛力・外交力強化、危機管理投資などによる強い経済の実現を掲げました。比較的規模の大きい支援で、経済の活性化を狙います。

今回の経済対策における物価高支援は、あくまで一時的な対策です。政府はこれから長期的に使える制度として「給付付き税額控除」の設計を検討しています。高市政権の目玉政策ともいえる給付付き税額控除。一体どのような政策なのでしょうか。

この記事では、給付付き税額控除の概要やメリット、年収の壁と比較した効果などを解説します。

1. 給付付き税額控除とは?

給付付き税額控除とは、給付金と税控除の2つを組み合わせたものです。まずは一定の税額を差し引き、差し引けない分が発生した場合に、その分を給付金として支給するのが一般的です。欧米各国でも導入されている実績があります。

高市首相は、2025年の自民党総裁選から、給付付き税額控除の実施を掲げています。これは首相就任後も変わっておらず、自身の所信表明演説でも実施の意向を表明しています。

人口減少・少子高齢化を乗り切るためには、社会保障制度における給付と負担の在り方について、国民的議論が必要です。超党派かつ有識者も交えた国民会議を設置し、給付付き税額控除の制度設計を含めた税と社会保障の一体改革について議論してまいります。野党の皆様にも御参加いただき、共に議論を進めてまいりましょう。

引用:首相官邸「第219回国会における高市内閣総理大臣所信表明演説」

給付付き税額控除を実現するには、いちから制度設計が必要です。とくに、適切に控除手続きを進めるには、所得額の把握が欠かせません。マイナンバーカードと口座の連携など、システム整備が重要になるでしょう。長期的に利用できる制度にするためにも、丁寧な議論が求められます。

次章では、制度導入時の減税額・給付額をシミュレーションしてみましょう。