3. 制度の改正でプラスの影響を受ける人は「子のない夫」
18歳年度末までの子がいない55歳未満の男性にとっては、今回の制度改正は「改善」です。
これらの方は、現行制度では厚生年金に加入している妻が亡くなっても、遺族年金をまったく受け取れません。しかし、制度改正により、5年間受給できるようになります。
4. 遺族年金制度の改正に伴って個人が取るべき行動
遺族年金は、主たる生計者が死亡したとき、遺族の生活を守る土台となる公的制度です。家族構成や年齢、働き方などによって、受け取れる金額は異なります。
FPでもある筆者の感覚としては、遺族年金をはじめとした公的制度をきちんと理解しないまま、「何となく不安だから」という理由で必要以上の生命保険に加入している方は少なくありません。
主たる生計者の死亡に備える手段としては、遺族年金の内容を把握することに加え、資産形成や相続による備えなども選択肢として考えられます。これらによって将来の生活費や教育費を賄える見通しが立つ場合、生命保険の必要性は限定的となる可能性があります。
共働き夫婦であれば、収入が完全に途絶えることはないため、保障の必要性は世帯ごとの状況に応じて判断されます。
遺族厚生年金の改正が注目されたことをきっかけに、ぜひ現在の保険の加入状況を確認してみてください。その上で、保険料の使い道について検討する余地が出てくる場合もあります。