年末が近づき、年末調整などでお金のことが気になる季節ですね。実は、若い世代も老後のお金について深く考えていることが、最新の調査で明らかになりました。

輝ホールディングスが実施した「若者の終活に関する意識調査」の結果によると、20歳代~30歳代の64.0%が老後に向けて何かしらの準備を始めています。彼らが「将来のために必要な準備」と捉える終活の根底には、経済的な不安があります。老後の不安として「経済的なお金全般」が48.7%と最も高く、次いで「孤独」が20.0%となっています。

老後の年金受給額はいくらになるのか、その漠然とした見通しを知りたいと思うのは当然でしょう。

この記事では、生活の基盤となる公的年金の基本と2025年度の最新改定を解説するとともに、現在の60歳代以降のシニア世代が実際にどの程度受け取っているか、その受給額データを詳しく紹介します。

公的年金の年金額は、物価や賃金を考慮して見直しがおこなわれるため、いまと同程度の年金水準がこの先もずっと続くとは限りませんが、今のシニア世代がどの程度の年金を受け取れているかを知ることは、遠い将来に備える若い世代にとって、何らかのヒントになるでしょう。

また、繰上げ・繰下げ受給といった制度のメリットを最大限に活用できる仕組みを若いうちから知っておくことは、年金保険料を真の意味で自分の暮らしのために生かすために重要です。未来のライフプランを考えるきっかけにしてください。

■「若者の終活に関する意識調査」概要

  • 調査期間:2025年9月26日
  • 調査方法:インターネットによるアンケート調査
  • 調査対象者:未婚の20代・30代の男女
  • 回答者数:300名(20代男性75名・30代男性75名 /20代女性75名・30代女性75名)
  • 調査主管:燦ホールディングス株式会社

※グラフ中の回答割合は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならないことがあります

1. 【年金の基本】国民年金+厚生年金、公的年金は2階建て

「日本の年金制度は2階建て」と言われます。1階部分が「国民年金(基礎年金)」、2階部分が「厚生年金」です。

まずは、それぞれの年金の基本を確認しましょう。

1.1 1階部分:国民年金

  • 加入対象者はどんな人?:原則として日本に住む20歳から60歳未満の全員(職業や国籍は問わない)
  • 年金保険料はいくら?:全員一律、ただし年度ごとに改定あり(※1)
  • 老後の受給額はどう決まる?:保険料を全期間(480カ月)納付すれば満額の老齢基礎年金を受給できる(※2)

※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円

1.2 2階部分:厚生年金 ※国民年金に上乗せで加入

  • 加入対象者はどんな人?:会社員や公務員、またパートで特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たした方
  • 年金保険料はいくら?:収入に応じて(上限あり)変わる(※4)
  • 老後の受給額はどう決まる?:加入期間や納めた保険料により個人差が大きく出やすい

※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。

国民年金と厚生年金は、加入対象者、保険料の仕組み、将来受け取れる年金額など、上記のような違いがあります。

これらの違いを理解して、自分の年金受給額を計算し、収入を予測しながら、将来の生活設計を考えていくとよいでしょう。

次章で、2025年度に1.9%増額した年金額について解説します。