4. シニアが気になる「介護費用」はいくら?

年金と貯蓄に加えて、老後資金の計画において特に意識しておきたいのが介護費用です。

生命保険文化センター「2024(令和6)年度生命保険に関する実態調査」によれば、介護期間は平均4年7カ月と長く、一時的な費用と月々の費用を合わせた介護費用の総額の平均は、在宅介護で333万円、老人ホームなどの施設介護では718万円にも達します。

特に施設介護を考えた場合、初期費用として数百万円の入所一時金を要する民間施設への備えは、別枠で備えておくことも視野に入れる必要があるでしょう。

近居や同居の家族がいる環境は、日常のサポートにおいて有利ですが、施設入所費用のような大きな出費への備えは、計画的な資産運用によってカバーすることが重要となります。

5. まとめにかえて

人生100年時代を迎え、老後資金への不安は拭えません。多くの現役世代が不安を抱えるなか、すでに老後を迎えたシニア層の現実を直視してみましょう。

J-FRECの調査から、60歳代の二人以上世帯の貯蓄は、平均が2033万円であるのに対し、より実態に近い中央値はわずか650万円という大きな乖離が見られました。

これは、「貯蓄3000万円超」の富裕層(20.0%)と、「貯蓄ゼロ」の世帯(20.5%)がほぼ同数存在する「二極化」がはっきりしていることを示すものです。

公的年金も、厚生年金(国民年金含む)の平均月額は14万円台と、多くの世帯が老後の最低生活費とされる30万円台を年金だけで賄うことは難しい状況です。

さらに、平均700万円超に上る介護費用への備えも不可欠と言えるでしょう。

長寿時代の備えの第一歩は、将来の年金見込み額を確認し、繰上げ・繰下げ受給なども含めた年金の仕組みを学びながら、計画的な資産形成を始めていくこと。

これからやってくる年末年始シーズンは、中長期的なマネープランをじっくり考える良いタイミングです。ぜひご家族で話し合ってみましょう。

参考資料

マネー編集部貯蓄班