長引く物価高や不安定な経済情勢の中、「老後のお金」への不安は、特に40代以上の現役世代の皆様にとって、切実な問題ではないでしょうか。

2024年の統計では高齢者世帯の総所得の6割以上を「公的年金」が占めており、生活の土台として、公的年金制度を正しく理解し、ご自身の受給額の見通しを持つことは非常に重要です。

本記事では、公的年金の「国民年金」と「厚生年金」の基本的な仕組みや、2カ月に一度の年金支給サイクルを確認するとともに、最新のデータに基づいた平均受給額を、男女別・受給額分布を含めて詳しくご紹介します。

平均年金月額が男性と女性で約6万円もの開きがあること、そして高齢者世帯の約2割は年金以外に「稼働所得」で補っている実態は、私たち現役世代が老後資金を考える上で、ひとつの重要な指針となるでしょう。

公的年金をベースに、NISA(ニーサ)やiDeCo(イデコ)といった「自助努力」による資産形成の必要性を考えるきっかけとして、ぜひ最後までお読みください。

2025年11月〜12月を控え、来年以降の確定申告の手続きの進化にも触れています。

1. 公的年金の基本的なしくみ

公的年金は、基礎部分となる「国民年金」と、上乗せ部分にあたる「厚生年金」から成り立つ2階建て構造です。

厚生年金と国民年金の仕組み

厚生年金と国民年金の仕組み

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

国民年金は原則として、国内在住の20歳以上60歳未満の全ての人が加入対象で、年金のベースとなります。国民年金保険料(※1)は全員一律です。

厚生年金は企業や官公庁などで働く人たちが、国民年金に上乗せして加入する年金です。毎月の給与や賞与に応じた年金保険料(※2)を納めます。

国民年金保険料を全期間(480月)納めると、65歳以降で満額(※3)の老齢基礎年金を受け取ることができます。未納期間があった場合は、その月数に応じて満額から差し引かれるしくみです。

厚生年金は、「年金加入月数」と「納めた保険料」により、老後の年金額が決まります。

※1 国民年金保険料:2025年度は月額1万7510円
※2 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
※3 国民年金の満額:2025年度は月額6万9308円