3. 「増やす」お金──新NISAで月1万5000円を15年積み立てたら?

資産運用に踏み出す際、まず検討したいのが非課税で運用できる新NISA制度です。

ここでは、毎月1万5000円を15年間積み立てた場合のイメージを具体的に確認してみましょう。

金融庁の「つみたてシミュレーター」を用いて、年3%の利回りで運用したと仮定すると、

  • 元本:270万円(1万5000円 × 12カ月 × 15年)
  • 最終的な資産額:約339万円

となり、およそ69万円が運用によって増えた金額に相当します。

シミュレーション結果「毎月1万5000円ずつ15年間積み立てた場合」

シミュレーション結果「毎月1万5000円ずつ15年間積み立てた場合」

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

新NISAは運用益が非課税となるため、複利の効果をより効率的に受け取れる点が大きなメリットです。

月1万5000円という手の届きやすい金額でも、15年間着実に積み立てることで、将来の選択肢を広げる助けになります。

老後資金づくりにおいては、一度に大きな額を準備するよりも、「継続してコツコツ積み立てること」が大きな成果につながるケースが多いといえるでしょう。

4. まとめ

60~69歳の単身世帯では、金融資産の中央値が350万円前後にとどまり、「貯蓄2000万円以上」という層はごく限られています。

多くの人が数百万円規模の資産をもとに、老後の生活設計を行っているのが現実です。

とはいえ、老後の資産形成はいくつになっても取り組めるものです。

「使う・貯める・増やす」という3つの視点でお金を整理することで、無理のない老後準備の進め方が見えてきます。

まずは日々の生活の基盤を整え、そのうえで余裕資金を少しずつ育てていく方法を取り入れてみましょう。

参考資料

加藤 聖人