2025年もあと1カ月ちょっと。年始に「お金を貯める」ことを目標に掲げた方々、順調に進んでいますか。

さて、数年前に話題となった「老後2000万円問題」ですが、いまのシニア世代は「2000万円」もの資産を準備して老後を迎えたのでしょうか。

そもそも老後に必要な金額は、年金受給額や生活費、住んでいる地域や家族構成などにより世帯ごとに異なるものですが、参考までにシニア世代の貯蓄事情を確認してみます。

1. 【60歳代&70歳代】二人以上世帯「老後2000万円問題」をクリアしているのは3割未満?!

J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」では年代別の金融資産保有額データを公表しています。

60歳代と70歳代の金融資産保有額データより、シニア世代の貯蓄事情を確認していきましょう。

※このデータの金融資産保有額には、預貯金のほか、投資信託や株式、生命保険など将来に備えるための金融商品残高も含まれています。日常で使用する普通預金残高等は含まれていません。

1.1 【60歳代】貯蓄「2000万円」以上を保有する世帯はどれくらい?

60歳代・二人以上世帯の金融資産保有額1/4

60歳代・二人以上世帯の金融資産保有額

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」をもとにLIMO編集部作成

60歳代二人以上世帯の貯蓄額の平均値は2033万円、中央値は650万円です。

2000万円以上の貯蓄を持つ世帯は全体の28%、一方で金融資産を保有しない世帯は20.5%となっています。

60歳代二人以上世帯の約半数が貯蓄額1000万円未満です。

近年は定年退職の年齢が引き上げられていますので、これからまとまった退職金を受けとるという方もいるかもしれません。参考までに70歳代の貯蓄データも見ておきましょう。

2. 【70歳代】貯蓄「2000万円」以上を保有する世帯はどれくらい?

先ほどと同じ資料で、70歳代の貯蓄事情を見ていきましょう。

70歳代二人以上世帯の貯蓄額の平均値は1923万円、中央値は800万円です。

2000万円以上の貯蓄を持つ世帯は全体の27.9%、一方で金融資産を保有しない世帯は20.8%となっています。

70歳代二人以上世帯においても半数以上が貯蓄額1000万円未満という状況です。

老後2000万円問題といわれるものの、「2000万円では足りない!」という声も多く聞こえてきます。

しかし、2000万円もの資産を準備して老後を迎えることは簡単ではないようです。

年金収入だけでやりくりできるように生活費を調整すれば、老後資金として2000万円なくても暮らしていけるかもしれません。次章ではシニア世代の年金受給額を見てみましょう。

3. 厚生年金は月額いくら?

厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、厚生年金・国民年金の平均年金月額を確認しましょう。

厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されていますが、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下、記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介します。

※記事内で紹介する厚生年金保険(第1号)の年金月額には国民年金の月額部分も含まれています。

3.1 厚生年金《平均年金月額》

  • 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万7200円

3.2 厚生年金《月額階級別受給権者》

  • 1万円未満:4万4420人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4367人
  • 2万円以上~3万円未満:5万231人
  • 3万円以上~4万円未満:9万2746人
  • 4万円以上~5万円未満:9万8464人
  • 5万円以上~6万円未満:13万6190人
  • 6万円以上~7万円未満:37万5940人
  • 7万円以上~8万円未満:63万7624人
  • 8万円以上~9万円未満:87万3828人
  • 9万円以上~10万円未満:107万9767人
  • 10万円以上~11万円未満:112万6181人
  • 11万円以上~12万円未満:105万4333人
  • 12万円以上~13万円未満:95万7855人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3629人
  • 14万円以上~15万円未満:94万5907人
  • 15万円以上~16万円未満:98万6257人
  • 16万円以上~17万円未満:102万6399人
  • 17万円以上~18万円未満:105万3851人
  • 18万円以上~19万円未満:102万2699人
  • 19万円以上~20万円未満:93万6884人
  • 20万円以上~21万円未満:80万1770人
  • 21万円以上~22万円未満:62万6732人
  • 22万円以上~23万円未満:43万6137人
  • 23万円以上~24万円未満:28万6572人
  • 24万円以上~25万円未満:18万9132人
  • 25万円以上~26万円未満:11万9942人
  • 26万円以上~27万円未満:7万1648人
  • 27万円以上~28万円未満:4万268人
  • 28万円以上~29万円未満:2万1012人
  • 29万円以上~30万円未満:9652人
  • 30万円以上~:1万4292人

4. 国民年金は月額いくら?

厚生年金の加入期間がなかった人が受け取る、国民年金(老齢基礎年金)の月額についても見ていきます。

4.1 国民年金《平均年金月額》

  • 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
  • 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万5777円

4.2 国民年金《月額階級別受給権者》

  • 1万円未満:5万8811人
  • 1万円以上~2万円未満:24万5852人
  • 2万円以上~3万円未満:78万8047人
  • 3万円以上~4万円未満:236万5373人
  • 4万円以上~5万円未満:431万5062人
  • 5万円以上~6万円未満:743万2768人
  • 6万円以上~7万円未満:1597万6775人
  • 7万円以上~:227万3098人

5. 年金だけでやりくりできても「老後資金」を確保しておきたい理由

年金受給額は個々で異なるため、毎月の生活費を年金収入だけでやりくりできる世帯もあるでしょう。

たとえば、夫婦ともに厚生年金(国民年金含む)を平均額程度受け取れたら、税金や保険料が控除され、手取りで考えても22~23万円ほどの世帯収入となります。

生活費を20万円未満に抑えれば、貯蓄を取り崩さなくても年金だけでやりくりできる計算です。

しかし、年金だけで毎月の生活費をカバーできている場合でも、予期せぬ支出や将来の不安に備えるため、まとまった老後資金の確保は必須といえます。

その理由を見ていきましょう。

5.1 物価高騰による「実質的な年金価値」の目減り

年金額は、物価や賃金の上昇に応じて引き上げられる仕組み(マクロ経済スライドなど)がありますが、その引き上げペースは、物価上昇率(インフレ)を上回らないことがほとんどです。

食費や光熱費などの生活必需品の価格が上がり続ける結果、受け取る年金額が仮に増えても、実質的な購買力は低下していきます。年金だけで生活できていたとしても、物価高が続けば、徐々に生活水準を維持することが難しくなります。

5.2 社会保障制度維持のための負担増

少子高齢化により、年金・医療・介護といった社会保障制度の現役世代による支え手が減少しています。

制度を維持するため、私たちの負担は今後も増え続ける見込みです。

介護保険料や後期高齢者医療保険料は、年金生活に突入しても負担しなければいけません。これらの保険料は年々上昇傾向にあります。さらに2026年4月からは、「子ども・子育て支援金」の徴収が始まり、年金生活者も追加の負担を負うことになります。

5.3 突発的な医療費・介護費用の発生

公的年金だけで毎月の決まった支出(家賃、食費など)をまかなえても、一度に大きな出費が必要となる事態には対応できません。

たとえば医療費の自己負担増。「高額療養費制度」があるとはいえ、自己負担限度額(特に所得が高い層)は高額になる場合があります。また、入院中の差額ベッド代や先進医療費、保険適用外の費用などは、すべて自己負担となります。

介護費用にも備えておきたいものです。介護サービスを利用する際の自己負担額や、施設入居費、在宅介護のためのリフォーム費用など、数百万円単位の支出が発生する可能性もあります。

こうした不測の事態や将来の負担増に備えるため、相応の老後資金を確保しておくと安心です。

6. まとめ

「老後2000万円問題」は、いまだに不安の象徴としてピックアップされますが、この数字はあくまでも平均的な年金生活夫婦世帯の不足額を示す一つの目安にすぎません。

実際、老後に必要な金額は世帯によって異なるものであり、2000万円も必要ないケースや3000万円、4000万円あっても足りないというケースもあるでしょう。

大切なのは、ご自身の世帯にあてはめて試算すること。年金見込額や生活費から、老後の収支を計算してみると良いでしょう。

老後資金の確保と並行して、生活費のダウンサイジングもしていきたいものです。

参考資料

和田 直子