7. あなたは年金を何歳からもらう?「繰上げ・繰下げ受給」をかんたん解説《イメージグラフ付き》
老齢年金の受給は原則として65歳ですが、「繰上げ受給」と「繰下げ受給」のしくみにより、受給開始タイミングをずらすこともできます。
ここでは、若い世代が知っておきたい「年金」の基本について、説明します。
7.1 Q 老齢年金は「繰上げ」「繰下げ」で受給可能って本当?
→A はい、ご自身の状況に合わせて、繰上げまたは繰下げて受給開始時期を選べます!
老齢年金の受給は、原則として65歳からです。
しかし、受給開始時期は「繰上げ」または「繰下げ」を選ぶこともできるのです。
繰上げ受給とは?
65歳よりも早く年金を受け取り始める制度。年金額は繰上げ時期に応じて減額されます。
繰下げ受給とは?
66歳以降に受給を遅らせることで、年金額を増額させる制度です。
「繰上げ」「繰下げ」のどちらにもメリットとデメリットがあります。
7.2 繰上げ受給のイメージ:メリット・デメリット
メリット
生活費の足しにしたい、早期リタイア後の収入源にしたいなど、早くから年金を受け取りたいというニーズに応えられます。
デメリット
繰り上げ請求をした時点に応じて、年金額が減額されます。この減額率は一生涯変わらないため、長期的に見ると受け取る年金の総額が少なくなる可能性があります。
7.3 繰下げ受給のイメージ:メリット・デメリット
メリット
長生きする可能性が高い、老後の生活費をできるだけ増やしたい、などの理由で、将来の年金額を増やしたい方に向いています。
デメリット
受給開始年齢を遅らせる分、年金を受け取れない期間が発生します。その間の生活費をどのように確保するか、貯蓄や他の収入源など、しっかりとした計画を立てる必要があります。
年金受給開始時期の決定は、ご自身の健康状態や家計などを総合的に考えて、慎重に行うことが大切です。
8. まとめにかえて
この記事では、日本の年金制度の構造、2025年度の年金額改定、そして実際に年金を受給しているシニア世代の平均受給額を、公的データに基づいてご紹介しました。
生命保険文化センターの調査が示す通り、約8割が「公的年金だけでは不十分」と不安を抱える今、公的年金は「65歳になったら自動的にもらうもの」ではなく、戦略的に受け取り方を選べる制度であることを理解することが重要です。
- 早めの受給(繰上げ): リタイア後の資金確保や、健康に不安がある場合の早期収入源として有効ですが、生涯にわたる減額を受け入れる必要があります。
- 遅らせる受給(繰下げ): 長く働く意欲があり、より豊かな老後資金を目指す場合の有力な選択肢です。年金額を最大84%増額できますが、受給開始までの生活資金計画が不可欠です。
公的年金の給付水準を正確に把握するため、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」でご自身の年金見込み額を確認しましょう。
そして、老後への不安を解消するためには、公的年金に加え、iDeCo(個人型確定拠出年金)や個人年金保険といった私的な備えを組み合わせ、税制優遇を活用しながら資産形成を進めることが、令和のセカンドライフ設計の鍵となります。
参考資料
- 生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査《速報版》」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
- 内閣府「令和7年版高齢社会白書」(全体版)第2節 高齢期の暮らしの動向 1 就業・所得
マネー編集部年金班



