紅葉の季節となり、今年も残りわずかとなりました。これからの人生を見つめ直す中で、「もし離婚したらどうなるのだろう」と考える方もいるかもしれません。
厚生労働省の統計によると、日本の離婚件数は2年連続で増加傾向にあり、特に「同居20年以上」の熟年離婚が増加しています。そこで知っておきたいのが、離婚後の暮らしを支える「財産分与」と「年金分割」という2つの制度です。
今回は、離婚の現状の調査結果をもとに、後悔のない再スタートを切るために必要な、この2つの制度の仕組みと注意点をわかりやすく解説します。
1. 離婚の現状、「昨年の離婚件数18万5000組以上!」
近年、日本の離婚件数は一時期減少傾向にありましたが、厚生労働省の統計によると、令和5年(2023年)からは2年連続で増加しています。令和6年(2024年)の離婚件数は18万5895組で、離婚率(人口千対)も前年より上昇し1.55となりました。これは、平成14年(2002年)のピーク(28万9836組)以降続いていた減少傾向に変化が見られるもので、家族の形や結婚観が時代とともに多様化していることを示しています。
1.1 離婚件数・離婚率の年次推移「2年連続の増加」
離婚件数は平成14年(2002年)の28万9836組をピークとして、長期的に減少傾向が続いていました。しかし、令和5年(2023年)からは2年連続で増加に転じており、令和6年(2024年)は18万5895組となっています。
離婚率(人口千対)も同様に、令和6年は1.55と前年から上昇しており、減少傾向に変化の兆しが見られます。離婚率1.55とは、その年の日本の人口1000人あたり1.55組が離婚したことを意味します。これは、日本の家族構造や離婚に対する社会意識に何らかの変化が起きている可能性が考えられます。
1.2 同居期間別にみる離婚の傾向「増加する熟年離婚」
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近年の傾向として、同居期間別にみた離婚件数の推移を見ていきましょう。総数としては増加しているものの、「5年未満」の期間別では減少傾向が続いており、特に同居2〜3年未満(▲3.6%) と同居3〜4年未満(▲7.6%)の階級で前年比減少率が高くなっています。
一方で、「20年以上の長期同居」の離婚件数は増加(前年比2.2%増)しており、特に「35年以上」の超長期同居での離婚が増加率が高い(前年比5.4%増)という特徴が見られます。これは、熟年離婚の増加傾向が継続していることがわかります。
こうした動きの中で、離婚を選ぶ夫婦は「財産の清算」と「今後の生活設計」という2つの課題に直面します。離婚後の暮らしを安定させるためにも、次に紹介する「財産分与」と「年金分割」の制度をしっかり理解しておくことが大切です。

