4. 財産分与と年金分割、今後の法改正にも注目
離婚は大きなターニングポイントですが、その後の暮らしを安心して整えていくために欠かせないのが、「財産分与」と「年金分割」という2つの制度です。どちらも、結婚生活の中で夫婦が協力して築いてきた財産や将来の資金を、公平に整理するための仕組みです。
これらの制度には、現行では離婚から2年以内という請求期限があります。ただ、仕事や子育て、心身の負担など、離婚前後の状況によっては、すぐに手続きに進めないケースも少なくありません。
こうした課題を踏まえ、財産分与の請求期間を2年から5年に延ばす民法改正がすでに成立しており、それに合わせて年金分割の請求期限も5年に延長する方向で検討が進んでいます。法改正の狙いは、期限に間に合わないことで本来受け取れるはずだった財産を失い、生活が不安定になる人を減らすことにあります。
施行は「公布から2年以内」とされており、適用開始は近づいています。今後、請求期限が2年から5年へと正式に変わるタイミングを確認しながら、もし手続きに迷うことがあれば、年金事務所や専門家に相談して、安心して次のステップに進めるよう準備を進めていきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
- 厚生労働省年金局「その他の制度改正事項について」
- 法務省民事局「民法等の一部を改正する法律の概要」
- 法務省「財産分与」
- 法務省「年金分割」
- 日本年金機構「離婚時の年金分割」
- 最高裁判所「裁判手続 家事事件Q&A」
村岸 理美