2. 厚生年金・国民年金「平均月額はいくら?」
先述の70歳代おひとりさまの平均貯蓄額が、「多い」と感じた方はどれくらいいるでしょうか。70歳代の貯蓄額が多いかどうかは、受給している年金月額をもとに考える必要があります。
そこで、今のシニア世代が受け取るる年金額について、厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに紹介します。
2.1 厚生年金の平均月額
現役時代、会社員や公務員など、厚生年金に加入していた70歳代おひとりさまは、厚生年金を受給できます。
厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額と受給権者の割合は以下のとおりです。
2023年度末における厚生年金の受給権者は、男女全体で1605万4729人です。また、国民年金を含む厚生年金の平均月額は以下のようになっています。
- 全体:14万6429円
- 男性のみ:16万円6606円
- 女性のみ:10万7200円
女性は、妊娠・出産や子育てなど、厚生年金の加入期間が短くなるケースが男性と比べると多い傾向があります。そのため、男性と比較すると厚生年金の月額は少なくなっています。
2.2 国民年金の平均月額
国民皆年金制度のもと、原則として20歳になると国内在住のすべての人が国民年金に加入します。厚生年金は国民年金に上乗せされる年金ですが、自営業者などは厚生年金に加入できません。
そのため、国民年金の加入者は、老齢基礎年金のみの受給となり、以下のような平均年金月額となっています。
- 全体の平均:5万7584円
- 男性の平均:5万9965円
- 女性の平均:5万5777円
国民年金の平均月額は6万円未満です。70歳代で国民年金のみ受給している人の多くは、貯蓄を取り崩しながら生活していることが推測されます。
たとえば、生活費が1カ月20万円だった場合、男女の平均月額である5万7584円受給する人であれば、毎月14万2416円の不足です。1年間で170万8992円、5年で854万4960円を貯蓄で補わなければなりません。
このように考えると、70歳代おひとりさまの貯蓄額が、多いか少ないかを判断しやすくなるでしょう。

