今年も残りわずかですが、1年を振り返って貯蓄額が増えた人はどれくらいいるでしょうか。物価高が続き、思うように貯蓄ができなかった人もいることでしょう。

厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」によれば、日本人の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.14歳です。そのため、70歳代であっても、将来を見据えた家計を考えなけば、生活費が不足する可能性があります。

今回は、70歳代の貯蓄額について紹介します。併せて、厚生年金や国民年金の平均月額にも触れながら、老後の収入について考えてみましょう。

1. 【70歳代】おひとりさまの平均貯蓄額はいくら?

【円グラフ】70歳代おひとりさまの貯蓄額《平均・個人差・中央値》

70歳代おひとりさまの平均貯蓄額

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」をもとにLIMO編集部作成

J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」から、70歳代おひとりさまの貯蓄額の世帯分布を見ていきます。

1.1 70歳代おひとりさまの貯蓄額「平均値と中央値」

70歳代おひとりさまの貯蓄額は、以下のような割合です。

  • 金融資産非保有:27.0%
  • 100万円未満:5.1%
  • 100~200万円未満:5.7%
  • 200~300万円未満:4.9%
  • 300~400万円未満:3.9%
  • 400~500万円未満:2.2%
  • 500~700万円未満:7.3%
  • 700~1000万円未満:5.9%
  • 1000~1500万円未満:8.9%
  • 1500~2000万円未満:4.7%
  • 2000~3000万円未満:6.1%
  • 3000万円以上:15.9%
  • 無回答:2.4%

70歳代おひとりさまの貯蓄額は、平均1634万円です。しかし、貯蓄額が500万円未満の世帯は48.8%と約半数を占めています。

そのため中央値の475万円が、より多くの世帯の実態に近い貯蓄水準を表していると言えるでしょう。

1.2 70歳代おひとりさまの貯蓄額「ゼロの割合」

70歳代おひとりさま世帯のすべてに貯蓄があるわけではありません。「貯蓄額ゼロ」世帯の割合に注目すると、全体の27.0%、約4人に1人が貯蓄がないということになります。

一方、貯蓄額が3000万円以上の70歳代おひとりさまは15.9%を占めています。これに2000万円~3000万円未満の世帯を合わせると、貯蓄額が2000万円以上の世帯は22.0%となります。

貯蓄ゼロ世帯と貯蓄額2000万円以上の世帯割合が、ほぼ同じ割合となっています。

このような背景もあり、高齢者の生活実態における金融格差が、近年は問題視されています。