8. 【年金コラム】年収106万円の壁、撤廃へ。2025年6月「年金制度改正法」成立
2025年6月13日に成立した「年金制度改正法」には、パートなどで働く人の社会保険加入対象の拡大が盛り込まれました。
いわゆる「106万円の壁」の撤廃に繋がる大きな動きと言えます。
8.1 「社会保険の加入対象の拡大」短期労働者の加入要件の見直し
2025年6月現在、パートタイムなどで働く短時間労働者の人が社会保険に加入する要件は、以下の5つをすべて満たす必要があります。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 2か月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
- 所定内賃金が月額8万8000円以上(←いわゆる「106万円の壁」に関連)
- 従業員数51人以上の企業で働いている
今回の改正では、このうち「賃金要件の撤廃」と「企業規模要件の撤廃」が盛り込まれました。これにより、全国の最低賃金の引き上げ具合を見極めながら、いわゆる「106万円の壁」が3年以内に廃止されることになります。
また、社会保険に加入する企業規模も、10年かけて段階的に拡大され、最終的には働く企業の規模に関わらず加入するようになります。
9. まとめ
今回は、公的年金の仕組みから、60歳代~80歳代の年齢別平均受給額、シニア無職世帯の家計実態、そして2025年の年金制度改正(106万円の壁撤廃)まで、幅広くデータをご紹介しました。
働き盛りの現役世代の私たちは、いまのシニア世代の年金・家計事情を直視したうえで、遠い将来に向けたライフプランを作っていく必要があります。
まずは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で、ご自身の正確な年金見込額を確認してみましょう。
最後に触れた「年収106万円の壁」の撤廃は、パートなどで働く方の「働き損」解消につながる一方、手取り額や働き方を考える大きな転機とも言えます。
公的年金を老後生活の土台としつつ、不足が予想される分については、長く働くことや、新NISA制度なども活用した資産形成といった選択肢も視野に入れ、世帯の状況に合わせた準備を「できることから」始めてみましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「いっしょに検証!公的年金 公的年金の仕組み」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- 厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」1 主な年齢の平均余命
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
- 政府広報オンライン「パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます。」
マネー編集部年金班
