年末調整の書類が配られ、いよいよ2025年も残りわずか。家計の見直しとともに、自身の「老後のお金」について具体的に考え始める40歳代、50歳代の方は多いのではないでしょうか。

2025年度は年金額が1.9%引き上げられましたが、これは過去の物価や賃金に基づくものであり、将来の安心を保証するものではありません。

公的年金は「国民年金+厚生年金」の2階建て構造と呼ばれ、現役時代の働き方や収入によって、将来受け取る額に非常に大きな個人差が生まれます。 さらに、2025年6月に成立した年金制度改正法により、働きながら年金を受け取る「在職老齢年金」の仕組みも大きく変わるため、最新情報を把握しておくことが重要です。

この記事では、複雑な公的年金制度の基本、2025年度の最新の平均受給額、そして現役時代の働き方による受給パターンの違いをわかりやすく整理します。

公的年金が持つ「老齢・障害・遺族」の3つの保障機能の確認から、ご自身の老後設計に直結する具体的な金額までを解説。 今まさにキャリアの岐路に立つ40歳代・50歳代の皆様が、自身の年金見込額と将来の働き方を考える一助となれば幸いです。

1. 公的年金は「老齢・障害・遺族」の3つの保障機能がある

日本の公的年金には、老齢年金の他、ケガや病気で仕事や生活などが制限されるようになった場合に受給できる「障害年金」、一家の生計の担い手にまさかのときがあった場合に受給できる「遺族年金」という、3つの保障機能があります。

「年金」と聞くと、リタイア後に受け取る「老齢年金」をイメージする人が多いかもしれませんね。

1.1 2階建て構造のしくみ:国民年金と厚生年金の違いを整理

「2階建て構造」と呼ばれるそのしくみは、1階部分の「国民年金(基礎年金)」と2階部分の「厚生年金」から成り立ち、現役時代の働き方や過ごし方が、将来の年金水準を大きく左右する性質を持っています。

ここでは、「国民年金」と「厚生年金」の基本とあわせて、それぞれの「老齢年金の受給額」についても整理しておきましょう。

1.2 1階部分《国民年金》

加入対象者は?

  • 原則として日本に居住する20歳から60歳未満の全員(職業や国籍は問わない)

年金保険料は?

  • 全員一律、ただし年度ごとに改定あり(※1)

老齢年金の受給額は?

  • 保険料を全期間(480カ月)納付すれば、65歳以降で満額(※2)の老齢基礎年金を受給できる

※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円

1.3 2階部分《厚生年金》

加入対象者は?

  • 会社員や公務員、またパート等で特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たした人(国民年金に上乗せで加入)

年金保険料は?

  • 収入に応じて(上限あり)変わる(※4)

老齢年金の受給額は?

  • 加入期間や納付した保険料により個人差が出る

このように、国民年金と厚生年金では、加入対象となる人、年金保険料の決まり方、老齢年金額の計算方法などが異なります。

そのため、現役時代の年金加入履歴により、実際に受け取る老齢年金額にはおのずと個人差が出てくるのです。

※3 特定適用事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される

1.4 年金カレンダー:2025年度の年金支給日はいつ?

公的年金は、原則として「偶数月の15日(※5)」に、支給月の前々月分と前月分の2カ月分を合算して支給されます(後払い方式)。

2025年度の「年金支給日」と「支給対象」の年金は以下の通りです。

  • 2025年6月13日(金) :4月・5月分
  • 2025年8月15日(金) :6月・7月分
  • 2025年10月15日(水) :8月・9月分
  • 2025年12月15日(月) :10月・11月分
  • 2026年2月13日(金):12月・1月分
  • 2026年4月15日(水):2月・3月分

※5 「15日」が土日・祝日の場合は直前の平日に前倒しされる