11月は大規模なセールやキャンペーンが実施され、ついつい出費が増えがちな時期です。また、冬の足音が聞こえ始め、光熱費の増加も気になり始めますね。
物価の高騰や社会保険料の引き上げも重なり、日々の生活、特に家計に不安を抱える人は少なくありません。現在の生活もさることながら、老後のための資産形成は、世代を問わず大きな課題となっています。
2025年度の公的年金は増額改定により、2024年度と比べ1.9%引き上げられましたが、物価の上昇に追い付いていないため、年金受給世帯の家計は依然として厳しい状況にあります。
厚生労働省が2025年7月4日に公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯の55.8%が生活状況を「苦しい」と回答しています。
この記事では、【厚生年金+国民年金】の受給者のうち「月額10万円未満の人」の割合を解説します。また、公的年金の「平均月額」についてもご紹介します。
お財布の紐がつい緩みがちなこの季節。将来の生活設計を見直す参考にしてみてくださいね。
1. 公的年金の基本:「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造
「現役時代に加入する年金」や加入期間、収入などによって、老後に受け取る年金額に大きな違いが生じます。
公的年金は「国民年金」と「厚生年金」があります。
1階部分には国民年金、2階部分には厚生年金がある2階建ての構造です。
1.1 「国民年金」加入対象は?
- 対象者:日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が原則として加入対象となります。
- 保険料:一律(年度ごとに改定)で、2024年度は月額1万6980円となります。
- 将来の年金額:40年間未納なしで国民年金保険料を納付した場合、満額が支給されます。
1.2 「厚生年金」加入対象は?
- 対象者:主に会社員や公務員などが、国民年金に加えて加入する年金制度です。
- 保険料:厚生年金に加入している期間中の年収に応じて決定され、上限があります。
- 将来の年金額:厚生年金保険への加入期間と納付した保険料に基づいて計算され、国民年金に上乗せして支給されます。
厚生年金に加入している会社員や公務員などに扶養されている専業主婦・専業主夫の方は、国民年金保険料を自分で納める必要はありません。これは、配偶者が加入する厚生年金制度から保険料が負担されているためです。
1.3 【国民年金・厚生年金】平均月額の実態は?男女間で約6万円の差
厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、「国民年金」および「厚生年金+国民年金」の平均月額は以下の通りです。
【国民年金の平均月額】
- 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
【厚生年金+国民年金の平均月額】
- 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
国民年金の受給額は、原則として40年間の保険料納付状況に基づいて決まります。全期間を未納なく納付した場合、2025年度において受給できる満額は「月額6万9308円」です。
一方、会社員などが加入する厚生年金(国民年金に上乗せ)の全体の平均月額は14万円台に達します。注目すべきは、厚生年金+国民年金の平均月額において、「男女間で約6万円の差」が生じている点です。現役時代の働き方や収入の違いは、老後の年金額に直結します。
このように平均額には大きな開きがありますが、実際の受給者の分布はどうなっているのでしょうか。次章では、年金受給額が「月額10万円未満」にとどまっている人がどれくらいいるのか、具体的なデータをもとに解説します。
2. 【国民年金】のみで「月額10万円」を受給するのが難しい理由
厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の受給額ごとの受給者数は以下のとおりとなっています。
- 1万円未満:5万8811人
- 1万円以上~2万円未満:24万5852人
- 2万円以上~3万円未満:78万8047人
- 3万円以上~4万円未満:236万5373人
- 4万円以上~5万円未満:431万5062人
- 5万円以上~6万円未満:743万2768人
- 6万円以上~7万円未満:1597万6775人
- 7万円以上~:227万3098人
国民年金のみを受給する人の中には、月額7万円以上の人もいらっしゃいます。
ただし国民年金は、年度ごとに定められる一律の保険料を納付した期間によって、年金額が決定される仕組みです。
そのため、国民年金だけで月額7万円を大きく超えることは難しいと考えられます。
3. 【厚生年金+国民年金】受給者の約5人に1人は「月10万円未満」の厳しい現実
厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の受給額ごとの受給者数は下記の結果となりました(国民年金を含む)。
- 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
※国民年金部分を含む
- 1万円未満:4万4420人
- 1万円以上~2万円未満:1万4367人
- 2万円以上~3万円未満:5万231人
- 3万円以上~4万円未満:9万2746人
- 4万円以上~5万円未満:9万8464人
- 5万円以上~6万円未満:13万6190人
- 6万円以上~7万円未満:37万5940人
- 7万円以上~8万円未満:63万7624人
- 8万円以上~9万円未満:87万3828人
- 9万円以上~10万円未満:107万9767人
- 10万円以上~11万円未満:112万6181人
- 11万円以上~12万円未満:105万4333人
- 12万円以上~13万円未満:95万7855人
- 13万円以上~14万円未満:92万3629人
- 14万円以上~15万円未満:94万5907人
- 15万円以上~16万円未満:98万6257人
- 16万円以上~17万円未満:102万6399人
- 17万円以上~18万円未満:105万3851人
- 18万円以上~19万円未満:102万2699人
- 19万円以上~20万円未満:93万6884人
- 20万円以上~21万円未満:80万1770人
- 21万円以上~22万円未満:62万6732人
- 22万円以上~23万円未満:43万6137人
- 23万円以上~24万円未満:28万6572人
- 24万円以上~25万円未満:18万9132人
- 25万円以上~26万円未満:11万9942人
- 26万円以上~27万円未満:7万1648人
- 27万円以上~28万円未満:4万268人
- 28万円以上~29万円未満:2万1012人
- 29万円以上~30万円未満:9652人
- 30万円以上~:1万4292人
厚生年金+国民年金の年金月額階級ごとの受給者数を見ると、「月額10万円未満」の受給者は全体の約22.7%を占めていることが判明しました。
これは、厚生年金(会社員・公務員経験者)を受給している人であっても、約5人に1人は「月額10万円」に届いていないという厳しい現実を意味します。
その一方で、平均月額である14万6429円を超える「月額15万円以上を受給できている人」の割合は47.6%を占めています。
物価の高騰が続く現在、年金収入だけで老後の生活費を完全にカバーすることは、多くの方にとって難しいと考えられます。
平均額だけを見て安心するのではなく、ご自身の年金額がこの分布のどこに位置するかを確認し、現実的な老後の計画を立てる必要性が高まっています。
4. 長生きリスクに備えよう!「資産寿命」を延ばす老後の計画
老齢年金はセカンドライフを支える柱ですが、物価が上がり続ける今、年金収入だけではゆとりのある生活を送るのは難しいと感じる世帯は少数派ではないでしょう。
老後のお金の心配をなくすためには、現役時代の早い頃から計画的に準備することが欠かせません。「人生100年時代」に老後を生きる私たち現役世代にとっては、長生きリスクに備え、「健康寿命」と「平均寿命」の差をいかに埋め、「資産寿命」を延ばしていくかが大きな課題となるでしょう。
公的年金だけでは足りない分を自分で用意するため、新NISAやiDeCoといった税制優遇制度を活用した資産づくりを検討してみるのも一案ですね。若いうちから少額でもコツコツと積立を始めることが大切です。
さらに、健康寿命を過ぎてからの病気や介護のリスクに備え、いつもの生活費とは別に、医療費や介護費のためのお金も用意しておく必要があります。
ご自身の将来もらえる年金額を確認し、物価の上昇も考えて、目指したい老後生活に必要なお金を逆算して「老後の計画」を立ててみましょう。



