秋が深まる11月に入りましたが、来月12月は偶数月のため年金支給日を迎える方も多いでしょう。そんな公的年金の中でも障害年金は、病気やケガで日常生活や仕事に制限が生じたときに暮らしを支える大切な年金です。障害年金の対象となる主な病気やけがは、視覚・聴覚・肢体障害だけでなく、長期療養が必要ながんや糖尿病などの内部疾患、精神疾患など多岐にわたります。

しかし、「一度認定されたら一生もらえるのか?」という疑問を持つ方もいるでしょう。今回は、日本年金機構の今年9月に発表された「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」をもとに、障害年金の更新のしくみや、令和7年度の具体的な支給額、支給までの流れについてわかりやすく解説します。

1. 障害年金、「一生もらえるとは限らない」新規裁定で多いのは「2・3・5」年の更新期間

障害年金を受け取るための手続きは、初めて申請して受給の可否が決まる「新規裁定」と、すでに受給されている人が継続の可否などを判定される「再認定」の2つのステップに分かれます。

障害年金は、一度認定されたらずっと自動的に「一生もらえる」わけではありません。症状が改善、または悪化していないかを定期的に把握するため、原則として数年ごとに診断書の提出が求められ、年金を受け取る権利の継続(再認定)について審査を受ける必要がある場合が多いのです。

今年9月に日本年金機構が発表した「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」より、この更新期間ごとの支給件数をみていきましょう。

1.1 【新規裁定】の更新期間

令和6年度【新規裁定】更新期間別支給件数

令和6年度【新規裁定】更新期間別支給件数

出所:日本年金機構「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」

【新規裁定】で初めての申請で受給が認められた際、「〇年後に再度診断書を提出してください」と更新期間を設定されます。中には、症状が固定され今後の改善が見込めないと判断される「永久固定」もあります。

令和6年度【新規裁定】更新期間別支給件数 ※()カッコ内は割合

  • 障害基礎・厚生年金の合計支給件数:13万441件
  • 更新期間1年:4191件(3.2%)
  • 更新期間2年:3万8124件(29.2%)
  • 更新期間3年:3万7888件(29.0%)
  • 更新期間4年:308件(0.2%)
  • 更新期間5年:3万8895件(29.8%)
  • 永久固定:1万1035件(8.5%)

新規裁定で更新期間が「2年・3年・5年」に集中しているのは、多くの障がいにおいて症状の状態が変動する可能性を定期的に確認しつつも、受給者の負担を考慮して1年よりも長く、また永久固定とするにはまだ状態が不安定だと判断されるケースが多いためと考えられます。

次に、【再認定】の更新期間についてみていきましょう。