6. がん保険選択時の重要ポイント

がん保険の必要性は感じていても、がん保険の選び方がわからない人も多いのではないでしょうか。保険のプロが、がん保険を選ぶときのポイントをわかりやすく解説します。

6.1 通院治療への対応

現代のがん治療は外来での薬物療法が中心となっているため、入院のみを対象とした保障では不十分になることも考えられます。診断一時金や抗がん剤治療給付金など、入院の有無に関わらず保障される商品かどうか確認しましよう。

6.2 再発・転移への備え

がんは再発や転移のリスクがある疾患のため、複数回の給付に対応した保険がおすすめです。診断一時金の複数回給付や、抗がん剤治療給付金の回数制限の有無を確認するようにしましょう。

6.3 先進医療特約の検討

標準治療で効果が得られない場合、先進医療や自由診療も選択肢のひとつになるかもしれません。

これらの治療費は全額自己負担となるため、先進医療特約や自由診療特約の付加を検討することで、治療選択肢を経済的理由で狭めるリスクを軽減できます。

7. がん治療時に利用可能な公的支援制度

高額療養費制度以外にも、がん治療で利用できる公的制度があります。がん治療には高額な費用がかかることもあるため、利用できる制度については事前に知っておくと良いでしょう。

7.1 限度額適用認定証の活用

医療機関での支払い時点から高額療養費制度の上限額を適用できる制度です。マイナ保険証の利用により手続きが簡素化されており、事前申請により窓口負担を軽減できます。

7.2 高額療養費貸付制度

高額療養費の還付を見込んで、無利子での事前貸付を受けられる制度です。数カ月後の還付を待てない状況での一時的な資金調達手段として活用できます。

7.3 医療費控除による税制優遇

年間医療費が一定額を超えた場合、所得税・住民税の軽減措置を受けられます。がん治療費だけでなく、通院交通費なども対象となるため、適切な申請により税負担を軽減できます。

8. まとめ

抗がん剤治療の費用負担は、公的医療保険制度や高額療養費制度により一定程度軽減されるものの、治療の長期化により累積負担は重くなる傾向にあります。

特に働き盛り世代では、治療による収入減少も加わり、経済的影響は深刻化する可能性があります。がん保険による備えは、公的制度だけでは対応しきれない経済的リスクを補完する有効な手段として、その必要性は高いといえるでしょう。

保険選択時は、現代のがん治療の実態に即した通院治療重視の保障設計を重視し、将来の治療技術進歩も視野に入れた包括的な備えを検討することが重要です。

参考資料

ほけんのコスパ編集部