4. 個人年金保険よりもiDeCoがおすすめ

iDeCoの最大の魅力は、税制面で有利なことです。まず、掛金を払うときに大きな節税効果があります。iDeCoに払い込んだお金は全額が所得控除の対象になるため、所得税と住民税が安くなります。

たとえば、年収500万円の会社員が月2万円をiDeCoに積み立てると、年間で約5万円ほど税金が戻ってきます。これを30年続ければ、節税だけで150万円近くになる計算です。

一方、個人年金保険の所得控除は年間最大4万円程度しかありません。個人年金保険も運用益中は課税が発生しませんが、そもそも運用実績があまり期待できません。

さらに、iDeCoは手数料が安く透明性が高いのも利点です。インデックスファンドを選べば、年間0.1〜0.2%程度の低コストで運用できます。個人年金保険は手数料が商品の中に組み込まれていて見えにくく、実質的なコストが高いケースが多いのです。

加えて、iDeCoは商品選択の自由度が高く、自分のリスク許容度に合わせて定期預金から株式投資信託まで選べます。途中で配分を変更することも可能です。個人年金保険は契約時に商品が固定されてしまい、柔軟性がありません。

老後のための資産形成であれば、税制メリットが圧倒的に大きいiDeCoを優先的に活用すべきです。個人年金保険は保険会社の利益も含まれており、純粋な資産形成の手段としては効率が悪いため、老後資産作りの手段としておすすめしません。

5. まとめにかえて

老後資金の準備にはiDeCoを最優先で活用することをおすすめします。個人年金保険と比較すると、iDeCoは掛金が全額所得控除の対象となり節税効果が大きく、運用益も非課税で複利効果を最大限に活かせます。

個人年金保険は所得控除が年間最大4万円程度に限られ、手数料が見えにくく実質的なコストが高い傾向があります。

iDeCoは透明性が高く、自分のリスク許容度に合わせて定期預金から株式投資信託まで選択でき、途中で配分変更も可能です。

受取時には課税対象になりますが、退職所得控除や公的年金等控除が利用でき税負担を軽減できるため、老後の経済的不安を軽減する有効な手段といえます。

参考資料

柴田 充輝