4. 「貯蓄3000万円」あれば老後は安泰なの?
調査では約2割が3000万円以上の資産を持っていましたが、この数字が老後に必要な金額ということはありません。老後に必要な貯蓄額は、その世帯の状況によって全く異なるからです。
必要な貯蓄額が異なってくるポイントとして、以下のような点が挙げられます。
- 会社員として長く勤め上げた方は比較的高額な年金を受け取れるため、必要貯蓄額は少なくなる傾向があります。
- 持ち家で住居関連費用が少ない場合も、必要資金は抑えられます。
- 個人事業主で厚生年金に未加入の場合は、年金だけでは足りず、多くの貯蓄が必要になることがあります。
- 賃貸生活を続ける場合も、継続的な支出を補うための貯蓄が重要です。
結局のところ、老後に必要な貯蓄額は、それまでの就労形態、住居状況、家族構成、生活スタイルなど、各世帯の特性によって大きく変わるものです。
そのため、自分自身の状況を冷静に分析し、個別の条件に合った貯蓄計画を立てることが重要となります。
5. おわりに
今回は、70歳代・二人以上世帯の貯蓄事情をデータとともに見てきました。中央値と平均値の差や、最高ランクと最低ランクの貯蓄世帯の割合から、70歳代の貯蓄額には大きな格差が存在していることがわかりました。
しかし、老後に必要な貯蓄額は世帯ごとの条件によって大きく異なります。
大切なのは他者との比較ではなく、老後の収支状況を正確に把握し、ライフプランに合った貯蓄目標を設定することです。
漠然とした不安を解消する第一歩は、自分自身の状況を客観的に把握し、具体的な計画を立てることから始まります。ぜひ、豊かな老後を迎えるための資産計画を立ててみてください。
参考資料
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」
- 内閣府「令和6年版高齢社会白書(全体版)第1章 高齢化の状況(第2節 4)」
斎藤 彩菜