2. 【70歳代】貯蓄額の実情からわかること
調査結果から見えてくる70歳代の貯蓄事情について解説します。
2.1 平均値と中央値の差
まず注目すべきは、平均値と中央値の大きな乖離です。平均値とは、全世帯の数値を合計して世帯数で割った金額であり、中央値とは、全世帯を貯蓄額の少ない順番で並べた時にちょうど真ん中に位置する世帯が保有している貯蓄額を指します。
調査結果では、平均値の1923万円に対し、中央値はわずか800万円です。つまり、半数以上の世帯が800万円以下の貯蓄しか持っていない一方で、一部の高額資産保有者が平均値を大幅に押し上げている状況が見て取れます。
2.2 「貯蓄3000万円以上」と「貯蓄ゼロ」世帯の比率
次に、資産分布の両極端に目を向けると、格差はさらに鮮明になります。
「3000万円以上」の資産を持つ世帯が19.0%いる一方で、金融資産を全く持たない「貯蓄ゼロ」の世帯も20.8%にのぼります。
高額な貯蓄を持つ裕福な層と、貯蓄がない層がほぼ同じ割合で存在しているのです。この数字も、70歳代世帯の経済格差を如実に表していると言えます。
2.3 結論:70歳代の貯蓄に「標準」はない
これらのポイントは、どちらも70歳代の二人以上世帯における貯蓄額の格差が極めて大きいことを示しています。
そのため、一般的に「普通」の指標と捉えがちな「平均値」という言葉ですが、その数値は「一般的な姿」を表すものとしての意味をなしていません。
70歳代の貯蓄事情は、ひとくくりに「標準」で語ることはできず、二極化が進んでいるのが現実であると言えます。