物価や生活費の高騰が続く中、将来の経済状況、特に老後の生活設計に対する不安が高まっています。

内閣府「国民生活に関する世論調査(令和6年8月調査)」によれば、生活に不安を感じている人のうち「老後の生活設計」に不安を感じる割合は62.8%にものぼります。

こうした状況下で、自ら資産を形成する「資産投資」への関心が高まっており、2024年開始の新NISA制度をきっかけに、投資を開始している人も増えています。

11月は紅葉が美しい季節であると同時に、冬のボーナスを見据えて資産計画を立てる絶好のタイミングです。

そこで本記事では、毎月の積立額別に3つのパターンを設定し、15年間投資を継続した場合の運用シミュレーションを具体的に解説します。資産投資は、50歳から始めても決して遅くはありません。

老後の経済的な不安を解消するための一歩として、ぜひこの記事をご参考に、ご自身の資産形成について考えるきっかけにしてください。

1. 積立投資のシミュレーション

今回は、50歳から65歳までの15年間で老後資金を準備するケースを想定し、3パターンの金額で積立投資をした場合の運用結果をシミュレーションします。

【前提条件】

  • 投資期間:15年間(50歳から65歳)
  • 利回り:3%
  • 投資方法:毎月定額投資
  • 月の投資金額:5000円・2万円・5万円の3パターン

1.1 パターン1:積立額5000円

  • 総投資額: 90万円
  • 運用益: 23万円
  • 積立後の資産:113万円

将来の運用資産額(月5000円積立)2/5

将来の運用資産額(月5000円積立)

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

パターン1では、15年間の積立投資によって23万円の運用利益が生まれました。一見すると大きな金額ではないかもしれませんが、同じ金額を預貯金にしていた場合、これほどの利益を得ることは難しい金額です。

このパターンの特徴は、「毎月の出資は抑えつつ、比較的安全に老後の資産を着実に増やしていく」という点です。安全性を重視しながら資産形成を目指す方にとって、この運用方法は有効な選択肢と言えるでしょう。

1.2 パターン2:積立額2万円

  • 総投資額: 360万円
  • 運用益: 92万円
  • 積立後の資産: 452万円

将来の運用資産額(月2万円積立)3/5

将来の運用資産額(月2万円積立)

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

月額2万円を15年間投資し続けるパターン2では、92万円という運用利益となりました。年利率3%であれば、投資総額を含めて「約450万円」という老後に向けた堅実な資産を作ることができます。

月2万円という投資額は、家計への大きな負担に思えるかもしれません。しかし、この金額は日々の消費習慣を見直したり、ボーナス部分を投資に回すことで、捻出できることも多くあります。日常の小さな浪費を見つけていくことで、その分を将来の安心へと転換できるのです。

1.3 パターン3:積立額5万円

  • 総投資額: 900万円
  • 運用益: 231万円
  • 積立後の資産: 1131万円

将来の運用資産額(月5万円積立)4/5

将来の運用資産額(月5万円積立)

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

月額5万円を15年間継続して投資するパターン3では、231万円という大きな運用利益となりました。このシミュレーションでは、元本と合わせると、老後に向けた確固たる資産基盤となります。

しかし、月5万円という積立額は、一般的な家計にとって大きな負担となり得ます。

このような積立投資を無理に実行しようとすると、家計を圧迫して生活が苦しくなったり、15年という長期にわたる継続が困難になったりする恐れがあります。

積立を中途半端に留めてしまうことは、積立投資のメリットを大きく損なう可能性があります。

そのため、「ある程度の経済的余裕がある世帯」や「安定した収入が見込める世帯」など、無理なく5万円の積立が続けられそうな世帯にとって有効なパターンであると言えます。

そのような世帯にとって、このような積立をしていくことで安定的に老後の生活を豊かにするための資産形成ができる選択肢となり得ます。

2. 投資額はどうやって決めればいい?ポイントは「継続」

今回は3パターンのシミュレーションを行いましたが、ここからは、自身にとっての「最適な投資金額」をどのように考えればよいのか、ポイントをお伝えします。

シミュレーション結果の通り、投資額が大きければリターンも増えるのは確かです。

しかし、現在の生活を犠牲にするほど無理をして投資することはおすすめできません。無理な計画は生活を圧迫するだけでなく、長続きせずに途中で中断してしまうリスクもあるからです。

積立投資は「長期間の継続」によって、価格変動のリスクを抑える効果が期待できます。つまり、「継続できること」に大きな価値があるのです。

積立投資をした際の収益率の差(5年積立と20年積立)5/5

積立投資をした際の収益率の差(5年積立と20年積立)

出所:金融庁「NISA特設WEBサイト(第3回 虫とりさんはどんな投資をしているのですか?)」

まずは老後の収支予測やライフプランを確認しながら、自分に必要な資金額を具体的に把握しましょう。その目標達成に向けて、現在の生活と将来の安心のバランスを考慮した、無理のない投資計画を立てることが成功への鍵となります。

3. おわりに

今回のシミュレーションで、50歳からでも積立投資によって着実に資産を増やせる可能性が見えたのではないでしょうか。

月の積立金額が大きなものではなくても、低リスクで将来に活かせる資産を作ることが可能です。

積立投資をする際に重要なことは「無理のない範囲で長く続けること」であり、そのための金額設定をする必要があります。長期的に一定金額の投資を行うことで、限りなくリスクを抑えながら資産形成をすることができます。

まずは自分のライフプランを見据えて、現在の生活と将来の安心のバランスを考慮した投資計画を立てていきましょう。

参考資料