3. 実際の手取り額は地域によって異なる

前述のシミュレーションは、東京都新宿区在住の人を例にしたものでした。実際に自分の年金からいくら差し引かれるかは、住んでいる自治体によって異なります。

居住地域で手取り額が変わる理由は、介護保険料や健康保険料の保険料率が自治体によって異なるためです。

介護保険料は、自治体の介護サービスに必要な費用から「基準額」を算出し、それにもとづき決定しています。具体的には、住民税の課税状況や所得金額に応じていくつかの段階を設け、各段階ごとで基準額に所定の保険料率を掛けて算出する仕組みです。この保険料率も自治体によって異なるため、居住地域によって介護保険料の天引き額が変わるのです。

健康保険料については、国民健康保険料が市区町村単位、後期高齢者医療保険料が都道府県単位で異なります。健康保険料も加入者に適切な給付ができるよう、自治体が保険料率や均等割額などを決定できます。たとえば、前述の新宿区の保険料率は医療分が7.71%、支援金分が2.69%でしたが、東大阪市の場合は医療分が9.30%、支援金分が3.02%です。そのため、自治体によって天引きされる保険料額が変わるのです。

天引きされる金額が変われば、手取り年金額にも影響します。保険料が高い自治体に住んでいる人ほど天引きされる金額が増えるため、前述のシミュレーションよりもさらに少ない手取り額になる可能性があるでしょう。

次章では、厚生年金の受給額を年齢別に確かめます。