65歳になると、私たちは老齢年金を受給し始めます。会社員として勤め、年金保険料を10年以上納めた人であれば、厚生年金を受給できます。
年金からは、給与と同じく税金や社会保険料が差し引かれます。月額15万円の場合、差し引かれる税金や社会保険料はいくらなのでしょうか。この記事では、年金から差し引かれるお金の種類や金額について解説します。
1. 年金から天引きされるお金にはどんなものがある?
年金から天引きされるお金は、以下の5つです。
年金から天引きされるお金
出所:国税庁「高齢者と税(年金と税)」、日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税および森林環境税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」をもとに筆者作成
所得税
- 65歳未満:年間の年金受給額が108万超
- 65歳以上:年間の年金受給額が158万超
住民税
- 以下の条件をすべて満たす場合
・65歳以上
・老齢もしくは退職を理由に年金を受給
・年間の年金受給額が18万円以上
国民健康保険料
- 以下の条件をすべて満たす場合
・後期高齢者医療制度の該当者を除く65歳以上75歳未満
・老齢・退職・障害・死亡を理由に年金を受給
・年間の年金受給額が18万円以上
後期高齢者医療保険料
- 以下の条件をすべて満たす場合
・75歳以上か後期高齢者医療制度の該当者
・老齢・退職・障害・死亡を理由に年金を受給
・年間の年金受給額が18万円以上
介護保険料
- 以下の条件をすべて満たす場合
・65歳以上
・老齢・退職・障害・死亡を理由に年金を受給
・年間の年金受給額が18万円以上
※国民健康保険料および後期高齢者医療保険料は、介護保険料との合計額が特別徴収対象年金額の2分の1を超える場合は、天引きされない。
所得税・住民税に加え、健康保険料や介護保険料が差し引かれます。社会保険料はとくに注意が必要で、これまでよりも負担する金額が増える可能性が高まります。
健康保険料については、退職後74歳までは国民健康保険に加入します。国民健康保険は、所得に応じて保険料が決まる仕組みです。加えて、会社の健康保険のように事業主との折半がなくなり、全額自己負担となります。そのため、これまでよりも高い金額を納めなければならないのです。
介護保険料も、所得段階に応じて保険料が決定されるようになり、健康保険料と同様に全額自己負担です。算定基準が変わるため、これまでとは異なる負担を強いられる可能性もあるでしょう。
なお、所得税については、2025年度の所得から基準が変わります。65歳未満が155万円超、65歳以上が205万円超となり、この金額を超えると所得税が発生します。
次章では、月額15万円の年金の天引き額・手取り年金額を解説します。