内閣制度140年の歴史で初となる女性総理として、高市早苗氏が第104代内閣総理大臣に指名され、日本維新の会との連立政権を発足させました。そして、政権の目標として「国民の暮らしと国家の平和を守るため、内外の難局を打開し、日本を前に進める政策を実現する」ことを掲げています。

また、先日10月4日に自民党第29代総裁に選出された際の就任会見では、所得税の減税と現金給付を組み合わせた「給付付き税額控除」の具体化に向け、党内で議論を始める意向を表明しました。

これは、低・中所得者層の生活を直接支援する重要な政策と位置づけられています。本記事では、この「給付付き税額控除」が具体的にどのようなしくみなのか、なぜ今注目されているのかをわかりやすく解説します。

1. 給付付き税額控除、減税と給付で生活を支援

高市総裁の就任会見(自民党第29代総裁就任会見)

高市総裁の就任会見(自民党第29代総裁就任会見)

出所:自民党お知らせ「もう一度信頼される自民党に 高市新総裁が就任会見」

10月4日に行われた自民党第29代総裁就任会見の質疑応答における「給付付き税額控除」の政策について、以下の通り発表されました。

【給付付き税額控除】
給付付き税額控除は私の持論だ。社会保険料の逆進性を考えると最もメリットがあり、中所得、低所得の方々を応援する方法だ。総裁が何もかも自分の政策を押しつけることはしないが、議論の課題として政務調査会長にお願いしたい。
給付付き税額控除はすぐできるものではない。制度設計をして対象をどうするか決め、所得の捕捉も必要で、システムも作らなければならず、数年単位かかるものであり、しっかり政調で議論してほしい。

出所:自民党お知らせ「もう一度信頼される自民党に 高市新総裁が就任会見」より引用

「給付付き税額控除」とは、所得の金額に応じて所得税から決まった額を差し引く(減税)ことで、生活を支援するしくみです。この制度の特徴は、単なる減税に留まらず、以下の点にあります。

減税と給付の組み合わせ

控除額が、その人の本来の所得税額よりも大きい場合、税金として差し引ききれなかった差額分が、国から現金(給付金)として支給されます。

所得の少ない層への支援強化

この仕組みにより、所得が少なく所得税の納税額がゼロ、あるいは極めて少ない人でも、控除による恩恵(現金給付)を全額受け取ることができ、生活支援を厚くすることができます。

例えば、控除額を10万円と設定した場合で考えてみます。

  • 所得税30万円の人:10万円が差し引かれ、20万円を納税(減税)
  • 所得税8万円の人:納税額はゼロになり、差額の2万円が給付される(減税+給付)
  • 所得税を納めていない人:控除額全額の10万円が給付される(給付のみ)

これにより、所得の少ない人に対する支援を厚くすることができます。

立憲民主党「給付付き税額控除」も含む物価高対策

立憲民主党「給付付き税額控除」も含む物価高対策

出所:立憲民主党「【代表会見】「物価高から、あなたを守り抜く」参院選挙政策発表」

なお、立憲民主党も7月の参院選公約に含めるなど、この制度は与野党の枠を超えた関心を集めています。