秋の気配が深まるこの季節、将来のことを少し立ち止まって考える方も多いのではないでしょうか。

おひとりさまが老後に向けて考えておきたいテーマのひとつが「遺産相続」です。

安心して老後を迎えられるよう、コツコツと貯蓄をしている方も多いでしょう。しかし、もしそのお金を使いきれなかった場合、残った遺産はどこへいくのでしょうか。

離別や死別によって「おひとりさま」となった場合であれば、お子さまがいるケースもあります。

一方で、近年は生涯未婚率が上昇し、「相続する人がいない」という状況も珍しくありません。

一人っ子でご両親がすでに亡くなっている場合、おひとりさまの大切な遺産はどうなるのか。

老後への備えを進めると同時に考えておきたい、「おひとりさまの遺産相続」について整理していきましょう。

1. おひとりさまの平均貯蓄額は?《年代別:20歳代~70歳代》

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」によると、単身世帯の金融資産保有状況は次のとおりです。

※本データの金融資産には、預貯金のほか株式・投資信託・生命保険なども含まれます。また、日々の生活費の引き落としや支払いに使う普通預金の残高は対象外となっています。

  • 20歳代:平均値161万円・中央値15万円
  • 30歳代:平均値459万円・中央値90万円
  • 40歳代:平均値883万円・中央値85万円
  • 50歳代:平均値1087万円・中央値30万円
  • 60歳代:平均値1679万円・中央値350万円
  • 70歳代:平均値1634万円・中央値475万円

また、20歳代~30歳代では100万円未満が多数を占める一方で、60歳代・70歳代では1000万円以上の貯蓄を保有している人も少なくありません。

こうして積み上げた資産は、老後の安心につながる一方で、使い切れずに残った場合の「遺し方」まで考えておくことが大切です。