7. 【在職老齢年金】とは?働くシニア必見「働きすぎると年金が減るかもしれない」事実
定年退職後も、年金を受給しながら働き続ける予定の方もいるでしょう。
60歳以降年金を受給しながら厚生年金保険に加入して働く場合や、厚生年金保険の適用事業所で70歳以降も働く場合には、知っておきたい事項があります。
それが「在職老齢年金」という制度です。
特別支給の老齢厚生年金や、老齢基礎年金・老齢厚生年金は、給与収入がある場合「月収(※1)と年金(※2)」の合計が一定額を超えると、下記のとおり超過分の年金額が半額に減額されます。
※1 月収:総報酬月額相当額(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12。70歳以上の場合には、それぞれ「標準報酬月額に相当する額」、「標準賞与額に相当する額」となる
※2 年金:基本月額:加給年金額を除いた老齢厚生(退職共済)年金(報酬比例部分)の月額
7.1 2025年度における在職老齢年金による調整後の年金支給月額の計算式
基本月額と総報酬月額相当額との合計が51万円※以下の場合
- 全額支給
基本月額と総報酬月額相当額との合計が51万円※を超える場合
- 基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-51万円※)÷2
なお、在職老齢年金の上限額(支給停止調整額)は、名目賃金の変動に応じて改定が行われており、2025年度は前年度よりも1万円引き上げられています。
8. まとめにかえて
本記事では、公的年金の概要や、年代別の受給金額について解説してきました。
公的年金は、老後の暮らしを支える重要な柱です。しかし、受給額には個人差があり、必ずしも生活費をすべてまかなえるとは限りません。まずは自分が将来どれくらいの年金を受け取れるのかを、正確に把握しておくことが重要です。
もし、年金だけでは老後の生活費が不足しそうだと感じた場合には、今からその差額をどう補っていくかを考えましょう。
たとえば、NISAなどを活用した資産運用も、将来に備える選択肢のひとつです。リスクとリターンのバランスを見ながら、自分に合った備え方を少しずつ検討していきたいですね。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「在職中の年金(在職老齢年金制度)」
- 日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
- 経済産業省資源エネルギー庁「電気・都市ガスをご利用するみなさまへ」
- 株式会社valuefirst「【アンケート結果】電気・ガス補助金終了で家計直撃 9割が「影響大」と回答、長期的な制度を求める声多数」
太田 彩子