老後に向けてどのくらいお金を積み立てればいいのでしょうか?
筆者は個人向け資産運用のサポート業務に従事していますが、このような質問を多くいただきます。2019年に金融庁が発表した老後2000万問題も記憶に新しいと思いますが、本当に老後2000万あればいいのでしょうか。
老後に必要な金額を求めるには、まずは老後の年金がどのくらい受け取れるか、ここが出発点となります。記事では年金制度の考え方、後半では老後の年金がどのくらい受け取れるかを深堀します。ぜひ最後までご覧ください
1. 年金のしくみ、国民年金・厚生年金の二階建て構造
公的年金は、基礎部分となる「国民年金」と、上乗せ部分にあたる「厚生年金」から成り立つ2階建て構造です。
国民年金は原則として、国内在住の20歳以上60歳未満の全ての人が加入対象で、年金のベースとなります。国民年金保険料(※1)は全員一律です。
厚生年金は企業や官公庁などで働く人たちが、国民年金に上乗せして加入する年金です。毎月の給与や賞与に応じた年金保険料(※2)を納めます。
国民年金保険料を全期間(480月)納めると、65歳以降で満額(※3)の老齢基礎年金を受け取ることができます。未納期間があった場合は、その月数に応じて満額から差し引かれるしくみです。
厚生年金は、「年金加入月数」と「納めた保険料」により、老後の年金額が決まります。
上記の年金額の決まり方からは、実際に受け取る年金額は一人ひとり異なります。ただし厚生労働省が毎年度の年金改定内容とともに公表する「年金額例」が、一つの目安となることもあるでしょう。
具体的には、最新となる2025年度の年金額例によると「標準的な夫婦世帯」は10月の年金支給日に「約46万5000円」支給されます。
※1 国民年金保険料:2025年度は月額1万7510円
※2 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
※3 国民年金の満額:2025年度は月額6万9308円
