3. 60歳代・70歳代の平均貯蓄額と厚生年金の平均年金月額
60歳代と70歳代は、標準的な世帯の場合、毎月の家計収支は赤字になっていることが分かりました。
赤字をカバーするために取り崩せる貯蓄、そして主な収入源となる年金。これらは老後の家計を支える二つの柱となります。
60歳代と70歳代の平均貯蓄額と厚生年金の平均年金月額を見ていきましょう。
3.1 60歳代の場合
J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」によると、60歳代の二人以上世帯の平均貯蓄額は2033万円でした。一方で中央値は650万円となっています。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
貯蓄額の分布についても見ておきましょう。
- 金融資産非保有:20.5%
- 100万円未満:6.5%
- 100~200万円未満:5.3%
- 200~300万円未満:3.7%
- 300~400万円未満:3.1%
- 400~500万円未満:3.1%
- 500~700万円未満:6.3%
- 700~1000万円未満:5.3%
- 1000~1500万円未満:8.9%
- 1500~2000万円未満:5.8%
- 2000~3000万円未満:8.0%
- 3000万円以上:20.0%
- 無回答:3.6%
金融資産非保有の世帯が2割を超えていることがわかります。
また、60歳代の厚生年金の平均年金月額は以下のとおりです。
- 60歳:9万6492円
- 61歳:10万317円
- 62歳:6万3244円
- 63歳:6万5313円
- 64歳:8万1700円
- 65歳:14万5876円
- 66歳:14万8285円
- 67歳:14万9205円
- 68歳:14万7862円
- 69歳:14万5960円
60〜64歳までは、繰上げ受給中の人や、特別支給の老齢厚生年金を受け取る人の金額となるためばらつきがありますが、一般的な年金受給開始年齢の65歳以降は14万円台です。
3.2 70歳代の場合
では、70歳代の貯蓄額はどうでしょう。
J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」によれば、70歳代の二人以上世帯の平均貯蓄額は1923万円、中央値は800万円です。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
60歳代と比較して平均値はやや減少していますが、中央値は増加しています。貯蓄額の分布は以下のとおりでした。
- 金融資産非保有:20.8%
- 100万円未満:5.4%
- 100~200万円未満:4.9%
- 200~300万円未満:3.4%
- 300~400万円未満:3.7%
- 400~500万円未満:2.3%
- 500~700万円未満:4.9%
- 700~1000万円未満:6.4%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:8.9%
- 3000万円以上:19%
- 無回答:3.5%
貯蓄3000万円以上の世帯が19%存在するのに対し、金融資産非保有世帯も2割程度います。「年齢を重ねる=貯蓄が多くなる」というわけではないことは理解しておきましょう。
また、70歳代の厚生年金の平均年金月額は以下のとおりです。
- 70歳:14万4773円
- 71歳:14万3521円
- 72歳:14万2248円
- 73歳:14万4251円
- 74歳:14万7684円
- 75歳:14万7455円
- 76歳:14万7152円
- 77歳:14万7070円
- 78歳:14万9232円
- 79歳:14万9883円
いずれも14万円を超える結果でした。60歳代と比較すると、どの年齢も大きな差はありません。
夫婦ともに厚生年金を受け取れる世帯であれば、黒字家計をキープできる可能性もありますが、上記はあくまでも各年齢ごとの平均年金月額です。



