本格的な冬を迎え、一年を振り返りながら来年の計画を立てるこの時期。老後の生活設計について、改めて考える方も多いのではないでしょうか。
「老後2000万円問題」が話題になって久しいですが、実際に65歳以上の世帯では、毎月どれくらいの支出・支出があるのでしょうか。
総務省の家計調査によると、60歳代、70歳代の「二人以上・無職世帯」の家計は、どの年齢層でも毎月赤字になっているという現実があります。
この記事では、総務省とJ-FLEC（金融経済教育推進機構）のデータをもとに、60歳代・70歳代の世帯の家計収支のリアル、平均貯蓄額、そして厚生年金の平均受給月額を詳しく解説します。
働き盛りの現役世代のみなさんが、遠い将来に向けたマネープランを立てる際のヒントになればと思います。
1. シニア無職世帯、ひと月の生活費「65〜69歳→70〜74歳→75歳以上」でどう変わる？
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」を参考に、二人以上世帯のうち「65歳以上無職世帯」の毎月の家計収支を紹介します。
シニアライフでは、ひと月どのくらいの支出が発生するものなのでしょうか。老後資金のどの程度準備すればよいか、老後にかかる費用もイメージしやすくなるでしょう。
1.1 65〜69歳世帯「ひと月の家計収支」生活費はいくら？
65〜69歳の毎月の実支出は、35万2686円です。内訳は以下のとおりでした。
- 消費支出（いわゆる生活費）：31万1281円
- 非消費支出（税や社会保険料など）：4万1405円
一方で、実収入は30万7741円、ひと月の赤字額は4万4945円となりました。
では、この赤字は65〜69歳だけなのでしょうか？以下で、70歳以降の毎月の生活費もチェックしてみましょう。
1.2 70〜74歳世帯「ひと月の家計収支」生活費はいくら？
70〜74歳の毎月の実支出は、30万3839円です。内訳は以下のとおりでした。
- 消費支出（いわゆる生活費）：26万9015円
- 非消費支出（税や社会保険料など）：3万4824円
一方で、実収入は27万5420円です。65〜69歳よりは生活費が減少していることがわかりますが、実収入も減っています。
結果、ひと月2万8419円の赤字が発生しています。赤字額自体は小さくなっているものの、不足分を何らかの方法でカバーする必要があることには変わりません。
1.3 75歳以上世帯「ひと月の家計収支」生活費はいくら？
75歳以上の毎月の実支出は、27万3398円です。内訳は以下のとおりでした。
- 消費支出（いわゆる生活費）：24万2840円
- 非消費支出（税や社会保険料など）：3万558円
一方で、実収入は25万2506円です。ほかの年齢と比べて生活費も小さくなるものの、依然として毎月2万892円の赤字が生じています。
2. コラム：家族の食費《60歳代～70歳代》ひと月の食費は「7万円前後」
家計管理の中でも、日常的に意識しやすく、工夫次第で節約しやすい支出のひとつが「食費」かもしれません。
ここで総務省統計局「家計調査 家計収支編（2024年）」をもとに、二人以上世帯のひと月の食費の平均を見てみましょう。
全体平均 7万5258円
- ～29歳 5万2413円
- 30～39歳 6万9433円
- 40～49歳 7万9900円
- 50～59歳 8万1051円
- 60～64歳 7万9831円
- 65～69歳 7万7405円
- 70～74歳 7万4322円
- 75～79歳 6万8274円
- 80～84歳 6万6257円
- 85歳～ 6万3347円
二人以上世帯のひと月の食費平均は、50歳代がピークで約8万円。その後60歳以降は徐々に下がり、85歳以上では6万3347円に落ち着きます。
食費は家族の年齢やライフステージにより大きく変動するものですが、所得が低めの世帯では「家計に占める食費の割合（エンゲル係数）」が大きくなりがちです。
物価上昇が続く今、食料品の値動きを観察しながら、食生活や家計全体を上手に管理していけたら良いですね。
