寒さが身に染みる季節となりました。年の瀬を迎え、ご自身の老後資金や日々の生活費について、具体的に見直しをされている方も多いのではないでしょうか。
中には、「老後の生活費は年金だけで足りるのか?」「何歳まで仕事を続けようか」など、具体的な疑問や課題と向き合っている方もいるでしょう。
この記事では、長く働き続けるシニアにとって大きな変化となる「在職老齢年金制度」の改正内容に触れたあと、「65歳以上リタイア世帯」のリアルなお金事情をデータで解説。
老齢年金世代のシニアたちの、「ひと月のリアルな生活費」「老後資金の平均貯蓄額」「年金受給事情」をていねいに見ていきます。
1. 「働く老齢年金世代」にニュース!在職老齢年金制度の年金カット基準、2026年春、大幅緩和へ
在職老齢年金とは、年金を受給しながら働く高齢者で、一定額以上の報酬がある人に対して年金の支給を調整する制度のことです。この基準となる金額を「支給停止調整額」といいます。
2025年6月に成立した年金制度改正法では、この支給停止調整額の見直しが盛り込まれています。具体的には、2025年度の月額51万円から62万円にまで引き上げられることとなりました。
在職老齢年金のしくみでは、「毎月の賃金(総報酬月額相当額)と厚生年金の月額の合計額」が、この支給停止調整額(2025年度は51万円)を超えると、年金の一部が支給停止(カット)されることになります。
支給停止調整額(月額)の推移は以下の通りです。
- 2022年度:47万円
- 2023年度:48万円
- 2024年度:50万円
- 2025年度:51万円
- 2026年度:62万円
2026年度に支給停止調整額が62万円に大幅に引き上げられることは、働く高齢者の意識にも少なからぬ影響を与えることが考えられます。
これまで年金カットを避けるために働き控えをしていた人も、より高い収入で仕事を続けるという選択がしやすくなるかもしれませんね。
今回の支給停止調整額の引き上げは、働き続けるシニアのモチベーションを高めるとともに、多様な働き方を促進するための大切な施策と言えます。
「何歳まで、どんな風に働くか」「生活費を含めた老後資金を、どのように捻出していくか」を具体的に考えるきっかけにしてみるのも良いですね。
