4. 負担増の時代に「手取りを増やす」には
社会保険料として約15%が毎月の給与から差し引かれる状況で、私たちはどのように手取りを増やしていけばよいのでしょうか。
社会保険料は所得状況や災害などで軽減を受ける以外に減らす手段がありません。そのため、手取りを増やすには税額をいかに減らすかが重要となります。
税負担を減らしながら資産形成ができる手段として「iDeCo」があります。iDeCoは自分で掛金を拠出して運用し、運用結果を将来の年金として受け取れる制度です。会社員の場合は、最大で月2万3000円まで掛金を拠出可能です。
iDeCoは掛金全額が所得控除の対象になるため、受取前までは節税ができます。所得が減ることで所得税・住民税どちらも少なくなり、手取り額を増やす効果が期待できます。
iDeCoは60歳までは基本的に引き出せず、途中解約もできません。しかし、そのルールを活かせば、長期的にじっくりと資産運用ができます。
60歳から年金形式・一時金形式での引き出しができるため、老後の年金上乗せ資金にしたり、退職金代わりにしたりと、リタイアメントプランにあわせて資金の受け取りが可能です。
手取りを増やしつつ資産形成をすることで、現在・将来どちらの生活にも余裕が生まれる可能性があるでしょう。
5. まとめ
中間所得層の貯蓄額は中央値で300〜400万円となっており、ほぼ年収以下の金額です。社会保険料として給与から約15%から差し引かれ、なかなか貯蓄に回せるお金がないのも、上記の数値となった要因といえます。
手取りや資産を増やす工夫をしつつ、今後の経済政策についても注視していきましょう。
参考資料
- 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」
- 厚生労働省「給付と負担について」
- 全国健康保険協会「令和7年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」
- 厚生労働省「令和7(2025)年度 雇用保険料率のご案内」
石上 ユウキ