12月も半ばを迎え、 年の瀬の慌ただしさとともに、来年の生活設計について考える方も多いのではないでしょうか。
みなさんは「老後に必要なお金」と聞いて、まず何を思い浮かべるでしょうか。
食費や光熱費といった基本的な生活費のほか、趣味や旅行、あるいはご自宅のリフォーム費用など、人それぞれ理想の老後に必要な金額は異なります。
しかし、この必要な金額を具体的にイメージしないまま老後を迎えると「想定以上に出費がかさんでしまった」という事態を招きかねません。
その結果、描いていた暮らしに影響が出る可能性も考えられます。
そこで本記事では、今のシニア世代の平均貯蓄額、年金の平均月額、そして毎月の生活費がどのくらいかかっているのか、実際の暮らしに焦点を当てて解説していきます。
老後の生活設計を立てる際の、参考にご覧ください。
1. 「平均寿命」と「健康寿命」には大きなギャップがある
2025年6月13日、国会において年金制度改正法が可決・成立しました。
今回の見直しには、現役世代への支えを強める措置に加え、就労しながら年金を受け取る高齢者向けの調整、そして私的年金制度を拡充する内容まで、幅広い改正項目が盛り込まれています。
なかでも注目されるのが、在職老齢年金の支給停止基準が大きく緩和された点です。
これにより、高齢者が働きながら年金を受け取ることが、これまで以上に行いやすくなりました。
総務省「2024年（令和6年）労働力調査」では、65歳以上の就業者が930万人（前年比＋16万人）に達しており、シニア層の就労は着実に増加しています。
一方、厚生労働省のデータでは、平均寿命（※1）と健康寿命（※2）の間には、男性で約8年、女性で約12年の差が生じています。
この差の期間は、医療や介護が必要になる可能性が高いとされ、老後の生活費や備えが重要になることを示しています。
こうした状況を踏まえると、現役時代からコツコツと貯蓄や資産形成を進めておくことが、70歳以降の生活の安心につながると言えるでしょう。
※1 平均寿命：2022年 男性81.05歳、女性87.09歳・2023年 男性81.09歳・女性87.14歳（「令和5年簡易生命表の概況」）
※2 健康寿命：2022年 男性72.57歳、女性75.45歳（「健康寿命の令和4年値について」）
